3度水を汲み、また3度繰り返す。

ミミズクと夜の王 (電撃文庫)

ミミズクと夜の王 (電撃文庫)

読み進めるうち、胸をつく郷愁…何故だかすごく懐かしい。昔どこかで読んだような気がしてならなかったのですが、もちろん不快ではなかったです。
この作風が大賞なのは、去年のお留守バンシーといい、ファンタジーの原点への回帰(≒童話)というテーマが根底にあるような気もします。むしろ、富士見ファンタジアでそれらしい表紙の作品として出てきても可笑しくないような内容だと感じました。もしくは大昔のスニーカー文庫。良く見受ける評価「懐の深さ」は、表紙のセンスに一番出ているんじゃないかと。
で、ふと思いついたのは冴木忍。ちょうど、『空みて歩こう』と『流れゆく河のように』を足してみたような雰囲気。戻らないという事、進むという事、見知らぬ大地を旅して思う…それはライトノベルという単語がまだ出来る前の空気。久方ぶりに堪能しました。