壊れた心でも一度笑って、破れた翼でも一度翔んで

いかにも病んでそうなタイトルに加えてイラスト:左とあっては買うしか!という事で今月の電撃1冊目。とりあえずジャケット裏の黒地に赤文字ビッシリな装飾が、このレーベルにしては珍しい仕掛け。なかなか極まった物語なんじゃないかと期待を募らせつつの読み始めでした。
で、さっくりと読了。果たして、電撃文庫のカラーで納まる全体図ではあるかな…というのが第一印象。後味悪そうと躊躇っている人には「意外といけますよ?」と後押しできそうな感じ。ヒロインが「らしい」ままで突っ走るのが評価の分かれる所ですけど。無垢―イノセントである程怖いものはない女性像が割と好きなので、個人的にはGOOD。何というか、マイナー映画の趣みたいで。
一方、壊れたまーちゃんとは対照的に反転していく「みーくん」サイドが中身としての仕掛けになってましたが、そうそう驚きの展開でもなく普通に気付く程度、だったのがこれまた評価の分かれ目でしょうか。アリといえばアリ、少々ションボリといえばションボリという辺りです、パラメーター的には。ただし、ヒロインとの組み合わせで考えると、「綺麗なお話」になるのがこれまた個人的には美味しいなぁと言ったところです。結局のところ好きなんですよね、こんな壊れものの物語。
サブキャラとの会話、特に年上のショタコンお姉さん2人は面白オカシイし、池田姉妹の弟っぷりツンデレ妹っぷりも盛り込んでくるし、何気にエロいまーちゃんのディープなど、細部の表現も楽しめたので満足満足。でも、読み終えた時に『タイムリープ』が思い浮かんだのは何故?…と思いつつ。