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イチゴミルク ビターデイズ

イチゴミルク ビターデイズ

甘くて、苦くて、眩しい、あの日のまま。そんな夢みたいなこと、あるわけない。

『キーリ』を1冊だけ、読んだことがあるだけ。それ以降は、「気になりつつも縁のなかった作者」カテゴリー。面白そうだと購入したら「ああ、そういえば」という再会となりました。電撃の単行本初買いでもあります。
あら筋を見てまず思いついたのは、清水マリコの『日曜日のアイスクリームが溶けるまで』でした。女性作家かつ同時代作家の描く「現代女性」の共通点は間違いなく、ある、と。そんなコモンイメージから、如何に非現実へスパイラルしていくのか?というセンスにおいて、いわゆる「越境作家」さんの持ち味が出てくるのだろうし、また読んでるこちら側も楽しみにしているポイントなのでしょう。その点では、実に素晴らしい作品だと思えました。17歳の「わたし」と24歳の「わたし」が交錯して導き出される結末に、良い意味でやられた!と素直に嬉しくなれましたし。
実は個人的な趣味としては『日曜日〜』の「26歳のわたしと10歳のわたし」が見せた結末の方が好みなのですが、青春小説としてのすっきりとした読後感に重きを置くなら断然こちら、『イチゴミルク ビターデイズ』をオススメしたい所。魔性の美少女、三千万の札束、東京生活のなれの果て…ワクワクするキーワードも、現実すぎる描写も、小さな幸せも、型通りの幸せも、全部包み込んで。優しさのようなあきらめのような彼女の選択肢に少し目を細めつつ。