汝、夢の扉を開け賜うな

モーフィアスの教室 (電撃文庫)

モーフィアスの教室 (電撃文庫)

さて、平素より「ジャケ買い第一主義」を貫くワタクシにとって、椎名優の表紙絵ラノベは実に難しい。イラストの素晴らしさは元より、『天球堂画報』については相当昔から閲覧してきたし、イラストレーターとしては「好み」の一言。しかし悲しいかな、何故か氏の担当する小説に関しては読み合わせが悪いのでした。そう、エロゲで言うならTony原画作品のような。しかし今回はポストカード付き対象作品だったので迷わず購入。作家さんの方も通算20冊目という事で、初読みながら期待できる組み合わせではなかろうか…という直感買いでもあり。
結果として、素直に面白かったです。非常に読みやすく、すっきりと組み立てられた展開は、さすがに新人さんとは違う安定感がありましたし。学園ミステリ要素と、ホラーものの王道「うっかり」をミックスしている割には、意外と大人しめな印象を受けましたが、それは個人的に「犯人」と「正体」について早々と目算がついてしまったからかも。それでも、何気ない描写の中に色々な繋がりが仕込んであってこその「わかりやすさ」だったと思います。つまり、良くできているミステリと言えるんじゃなかろうかと。
という訳で、グロだけどグロ注意!と注意する程じゃない、不思議なあっさり風味。嫌いじゃないです。ヒロインの照れ隠し系ドSな性格と主人公のうっかりヘタレ具合が上手くマッチしてます。クラスメイトの棗を含めた関係も、初々しい「お友達」スタートなのがこれまた良ろしいですし。とりあえず続きは追っかけていこうかなーと思いつつ。何となくイメージしたのは『ジェイソンvsフレディ』なのでした。