世界が終わるまでは

塔の町、あたしたちの街2 (ファミ通文庫)

塔の町、あたしたちの街2 (ファミ通文庫)

カオス理論。もしくは雪だるま式。物語の骨子を挙げろと言われれば思い浮かぶフレーズです。学園と塔、歪気に潔斎の秘奥という能力、学園ファンタジーに相応しい舞台設定は残念ながら長期シリーズとはならずに幕を下ろす訳なのですが…問題はその結末。正直、捨て鉢にも思える展開の中に作者特有の魅力を感じてしまうのは、もしかしたら邪道かも知れません。それでも確実に「味」になってるから困り者なのです、ある種の「破滅性」が。
お話の魅力としては、1巻で顔を覗かせた、なごみの意外な暴力性というかやんちゃっぷりが可愛いとか言ってる場合じゃないくらいに炸裂するのも堪らない部分ですが、何と言ってもなごみの相棒・華多那に今巻のキーワードが凝縮されていて。つまり「あたしたちの街」という答えそのものになっていたのですが、ラストや1巻の描写と合わせて読むと切ないですね、やはり。だって、どうしようもないから。本当にどうしようもなかったのだから。…うーん、凄い。ラノベで「こちら側」にシフトさせてしまったのが凄いです。
という訳で。時には売れ線の物語でも書いてくれない事には…いや、やはりこのままで良い…など悶々としつつ次回作を是非!お待ちしております次第。