私的読書履歴2008ライトノベル編

オイレン・スプライトの両シュピーゲル4巻を読み終わった後は、「ああ、今年の最高傑作は決まりだな」などと思っていました。が、しかし。ヒーローと不可能男は遅れてやってくるもの。こんなに分厚くて設定細かすぎるのに、何て読みやすいんだ!感動と笑いをありったけに詰め込んだファンタジーを上下巻だけで楽しめるお手軽なオススメ作品でした!いや、真剣で。ちなみにミトツダイラは俺の嫁とは言うものの外せないシリーズ最高傑作。個人的にはオイレンです。オイレンのラブ成分は素晴らしいの一言。紅犬の恋心などは、読んでて涙止まらないっす。黒犬の24っぷりも、白犬の最強っぷりも、あーもう3匹まとめて最高に良い女だ!と、オイレン贔屓全開しつつも、沖方丁節ならスプライトですね。困った事に、読んだ後は本当に涙が食べてみたくなったなぁと。変態ですか俺は。でも次巻でもまた泣くんだろうなフロイライン…とか妄想すると正直堪らん。

  • 演劇しようぜ!

ロミオの災難 (電撃文庫)

ロミオの災難 (電撃文庫)

なにいろアスタリスク! (一迅社文庫 さ 1-1)

なにいろアスタリスク! (一迅社文庫 さ 1-1)

さよならピアノソナタ』や『ぶよぶよカルテット』など、音楽を題材とした良作が印象深い2008年でしたが、お芝居モノも悪くない!という訳でこの2冊を。舞台に賭ける青春というものは、どんなに小っ恥ずかしくても斜に構えてみても、良いもんだなーと思えます。『ロミオの災難』はちょっとしたオカルト現象を絡めた「恋とは何ぞや」という甘酸っぱさを、『なにいろアスタリスク!』はちょっとしたオカルト現象を絡めた「逃げない本気」の大切さを教えてくれます。

  • 電波少女は恋の始まり

AURA ~魔竜院光牙最後の闘い~ (ガガガ文庫)

AURA ~魔竜院光牙最後の闘い~ (ガガガ文庫)

幽式 (ガガガ文庫)

幽式 (ガガガ文庫)

うーむ、『とある飛空士への追憶』もあると考えれば、ガガガ文庫収穫の年だったのかも?それはともかく、電波+美少女という魅力的なアンビバレンツを感じたいならこの2冊を是非。『AURA』は「田中ロミオが学園ラブコメ書いたらこうなりました」的な期待に見事応えてくれた傑作。冷徹な俯瞰視線で捉えた親子・教室内関係と洗練されたイタイ設定の配分が絶妙です。大笑いしつつも感動で涙が出てくるわ!『幽式』はオカルト寄りの電波美少女と共に垣間見る日常と非日常・彼岸と此岸の切り替えが美しい作品。ラフなタッチで描かれたイラストとも相まって、ちょっと毛色の違う作品を読みたい人にオススメ。

  • 身内・業界ネタに流行の兆しアリ?

ばけらの! (GA文庫)ラノベ部 (MF文庫J)生徒会の一存―碧陽学園生徒会議事録〈1〉 (富士見ファンタジア文庫)俺の妹がこんなに可愛いわけがない (電撃文庫)迷い猫オーバーラン! 拾ってなんていってないんだからね!! (スーパーダッシュ文庫)
基本的に面白ければ、大手ニュースサイトが登場しても他作品のライトノベルが登場しても全然気にならない派です。なので、話題になったタイトルは大体において良い作品だった…と思います。その上で見るべきポイントはやはり、「実名で登場する」という変化でしょう。例えば『乃木坂春香の秘密』などは上記の作品と被る要素を持ちつつも、作中においてはオリジナリティを追加しての使い方が多かったと思います。セルフパロはまんまですけども。つまりは「素材をそのまま使える」敷居がグンと低くなったのではないでしょうか。と同時にライトノベル全体の奥行きが広くなければ出てこないネタではあるんだろうなーとも思う訳で。これを成熟したと見るか衰退したと見るかは、本当に人それぞれですね。

  • 言葉にできない

“文学少女” と神に臨む作家 下 (ファミ通文庫)さよならピアノソナタ〈4〉 (電撃文庫)塔の町、あたしたちの街2 (ファミ通文庫)
2008年、もう一つのベスト。これはもう、ただ「読め」としか言えないような作品群です。蛇足で個人的な思い入れを付け加えるなら、『文学少女』はオペラ座の怪人を、『さよならピアノソナタ』はイーグルスを題材に組み込んでいたのが凄いツボでした。作家的には杉井光イヤーでしたね。そして忘れられない、『塔の町、あたしたちの街』。この終わり方は本当に衝撃的。言葉にならないので、是非読んでほしい…と2008年を振り返りつつ。