オペラ座の怪人あれこれ(1)

このミュージカルを初めて観たのは小学生の頃で、確か山口祐一郎がファントムだったと記憶してます。市村版、今井版はCDのみですが、以後関西で上演される度に観劇。で、とうとう今日観ました映画「オペラ座の怪人」を!
煩悩全開で感想を挙げるならばチラリと見えたふともも及びオーバーニー、コルセットで強調されたおムネ、美しい肌つや等々、歴代最高のクリスティーヌ(17)であるのは間違いない!といったところでしょうか<最低や えーさすがにこれではアレなんで以下、無駄に長く感想を挙げておきます。
まず一つ不安だったのは字幕でした。劇団四季版を浴びるほど聴いている身としては映画の日本語訳が許せるのかどうかで、自分の場合ロンドン版とその訳はあまり分からないので余計に浅利訳に偏ってるし。後は主演について。どれぐらい歌えるんだろうってのが興味津々でしたわ。
で、先に結論を言ってしまうと、字幕については最初は大分違和感ありました。説明調な台詞はどうって事ないんですが歌の部分はあまり頭に入ってこなかったです。つまり字幕を追っていると何言ってるかがわからないという奇妙な現象が。海外版好きな人は字幕なしで、四季版どっぷりな人は脳内変換で、初見の人はそのままで楽しむ部分ですな歌ん所は。その歌のレベルですが、ファントムは意外にアリか。ラウルは結構良いんだけど最後がちょっと。クリスティーヌは思ってたより凄い!よくもまあこれだけイメージぴったりな(ついでに年頃もぴったりな)女優がいたもんです。いずれにせよちょっと声量が足りないとかそういう問題だけだと思います。
そして本編の感想ですが…。んー、出だしが悪い!ラストは余計!シャンデリア落ちの意外なタイミングにニヤリ。ファントムの人間臭さは新鮮!仮面舞踏会は振付はともかく衣装がイマイチ。オール・アイ・アスク・オブ・ユーで号泣…といったところです。
詳しくいえば、まずオークション場面がかなりしょぼい。四季版だとオルゴールが鳴る部分ですでに泣いてしまうくらい好きなだけに残念でした。そのせいか劇場が復活していくシーンまでしょぼく思えたり。ただ当時の姿に戻ったパリ・オペラ座の描写は凄い!特に舞台裏や控え室のディティールときたら、もう感動ものです。でラストというのは地下でのやりとりから新規に追加したと思われる墓場までで、これは全てが気に食わないなー。あざといくらいに泣かせるテンポでいけば良いのに、現実としてのリアリティー追いすぎのような。これは実は全編通して感じることでもあって、ファントムがクリスティーヌを招く「ザ・ミラー」や「イル・ムート」でのカルロッタの声の変化など、悉くタネ明かしがあるのはびっくりしました。舞台だとそれは表現不可能だから魔法みたいに、鏡の国にお持ち帰り〜な演出なんですが個人的にはそっちの方が好き。そういったタネ明かしするマスクド・マジシャン的なところがファントムを今回の映画で人間らしくしている原因かなーと思います。
シャンデリラは一つのキーワードみたいに思われているかも知れませんが、そんなことはないです。結構しょぼい落ち方やし。舞台では一幕の最後に落さないと見せ場にならないし二幕最初のマスカレードに繋がらないんですが、映画は違う場面で落してて、このタイミングは意外にも良かった!そのせいでマスカレードがちょっと不自然な始まりなんですけど。ここは「怪人がしばらく鳴りを潜めた」みたいなセリフをもっと強調すべきか。マスカレード自体も、あの色彩の無さはどうなんでしょう?
最後にオール・アイ・アスク・オブ・ユーで号泣、という事で歌全般についてですが。まずファントムはエンジェル・オブ・ミュージックというよりはマスク・オブ・ゾロとでも言った方がしっくりくるような感じで、歌も他の主演2人に比べれば苦しい。苦しいんですが、そんな中でも芝居心をきっちり歌に乗せてたんじゃないでしょうか。ミュージック・オブ・ザ・ナイトは思っていたよりも自然に心打たれました。一方のラウルは普通に上手いんですけど印象は薄い。オール・アイ・アスク・オブ・ユーはラウルが良いんじゃなくてファントムの可哀相過ぎる佇まいにグアーと涙が。さて、クリスティーヌは…いいか、っよく聞けよ声は素晴らしいだけどまだまだ…などとファントムは評してるけど、本当に驚くほどに良かった。ただ、「いつも何かを夢みているような娘でしてな」という台詞が省かれてなければクリスティーヌがどんな娘なのか、初めの方からわかりやすかったかも?まあ歌に関しては本当に歌いっぱなしで分量多いのは確かなんですが、あれでも割りと削ってます。個人的には「支配人のオフィスにて」が無いのが残念!削りやすかったんだろうな…。
感想、かなり長くなったけど全然言い足りないし、一回観ただけでは収まらないです。とにかく前からオペラ座に興味あったけど観たことないって人は観てみて損はないと思います。歌ばっかりで肌に合わない、という人の気持ちはわかります。わかりますがそういう人は「ゲーム脳」ならぬ「ミュージカル脳」に一刻も早くなって頂きたい。そうすれば登場人物が突然歌い出しても何の疑問もなく楽しめますわ。