男だらけの表紙に作者の自信を見た?〜空ノ鐘の響く惑星で(6)感想。

空ノ鐘の響く惑星(ほし)で〈6〉 (電撃文庫)

空ノ鐘の響く惑星(ほし)で〈6〉 (電撃文庫)

今、電撃文庫の中で一番楽しみにしているシリーズの最新刊なので真っ先に購入。第11回受賞作3作品も手を出したくなる雰囲気があるし、その他新シリーズや「先輩とぼく④」など今月はカバーイラストも華やかなのが多いですね。…その中でどうです「空ノ鐘の響く惑星で」の表紙は。壮年の騎士団長にやり手の司教様という、漢気溢れる組み合わせはかなり異質だと思いました!こんなステキな表紙で売り上げとか大丈夫なんだろうかと余計な心配までしてしまいますが、はや6巻目という事でシリーズ買いしてる人は何はなくとも買うでしょうし、むしろ一ファンとして妙な興奮?に駆られてしまいます。ついでに言えば折り込みのイラストもアルセイフ国の魅力的な男性陣が飾られてたり。やー気分はアンジェリークですね(さすがに古いか)
とは言いつつも疑問の残る表紙組み合わせ、一通り読み終わると納得です。カシナートという人物について、今まではご都合主義な展開を阻止する「抑え」としての冷徹な悪として捉えてたんですが中々どうして面白い、結構好きになりました。神殿騎士の団長・副団長もすこぶる悪なんだけど、明確な信念でもって悪である姿勢が窺えます。まあやってる事は「うわ、ひど!」て思うんですがその行動原理は明確なゆえにキャラとしては意外に憎めないといった感じです。一方のウィスタルは思ってたよりも情にもろく、篤い性格がナイスだと思いました。…ちなみにここまで書いておいて何ですがカシナートであってるんですかね表紙絵。
それはそうと、主人公を取り巻く環境ですが。もう加速したら止められない、とどっかのアニメみたいなフレーズが思い浮かぶが如くです。今巻はウルクさん大モテ状態で、いや人気者は大変やねと思ってたら主人公のフェリオはフェリオで最後に素晴らしい発言かましてアンタ男だよと拍手喝采を送りたい気分。それにしても昇華後の描写からして肉体的接触が多いのはリセリナの方なんだけど、何故かフェリオとはすっきりとした、健康的な関係に思えます。一方のウルクの方は、妙にそそられる部分があると言うか、前回といい今回といい艶かしい(と思わせる)部分にドキリとさせられたり。イリスや団長もお人が悪い…
作品全体としては、展開は速いけど読み応えも読みやすさもちょうど良い塩梅、という感じです。引き続き期待のシリーズ、という事で一つ。