グラヴィティアートはピエロ

http://www.kahoku.co.jp/news/2005/06/20050614t13063.htm:::::HK-DMZ PLUS.COM:::::より)
この記事見てパッと頭に浮かんだ小説がこれ。

重力ピエロ

重力ピエロ

仙台にはそんなにグラフィティアートって多いんですかいな?と読んだ当初は思っていましたし、実際のところ、地元の「ブツ」に目がいってないだけなんだろうなぁ、と。<自分
しかし新聞の記事で見かけるとやっぱり仙台ってメッカ?とか思ってしまう単純さ。そして、レヴェル低下の原因は春が描かなくなったからだよ!と思ってしまう妄想加減。うーん我ながら不気味だ。それはさて置き、この小説は帯が凄い印象的でした。「小説、まだまだいけるじゃん!」って、思っていてもなかなか表に出せない文言だと思う。個人レベルならば、それこそ一冊一冊読んだ端から、感想文に使ってしまえるかも知れないけど。そんな大絶賛の内容はといえば、

連続放火事件の現場に残された謎のグラフィティアート。無意味な言葉の羅列に見える落書きは、一体何を意味するのか?キーワードは、放火と落書きと遺伝子のルール。とある兄弟の物語。

と、あります。これに限らず、細かいエピソードがぎっしり入っていて、目次を初めて見た時は読む気が失せたような、でも逆に引き込まれるような…そんな感覚を覚えたものです。読み始めてからも、まず「ジョーダンのバット」あたりでテンションが上がってしまったり。「バット」ってのがツボなんだよなぁ。こういった何気ない描写に、独特の世界観が発揮されていて、それがとてもグッド。
遺伝子というネタ自体はもはや使い古されてるかな?とも思うのですが、物語の終盤にかけて、文字通り遺伝子とかDNAを飛び越えていくヤツらが何とも爽快で…外国ドラマで、学校の卒業式の際、良く帽子を一斉に空に向かって放り投げる場面とかあるじゃないですか、そんな気分にさせてくれるんですよね。
ミステリとしてもなかなか面白くて、読んでて少しハラハラしました。魅力的だけど危険を常に孕んだ人物、というのは同時代小説における一つの黄金パターンかも。登場キャラクターの中では、黒澤とか。つか、「重力ピエロ」だけで読むと怪しさ満載な人物にも思えます。自分はそう思ってましたー。しかしこの前文庫で初めて「ラッシュライフ」を読んだ後ならば。思わずニヤリとするヤツになってくれますな、こりゃ。俺も癒されたいかも。後は、まあ夏子さんとか良いなぁ。
さて、そんな訳でこの小説は面白いにしても、現実とした困った問題なのかな?やはり。アートと呼べずに落書きとまでなってしまえば、余計に迷惑だろうし。とりあえず、描いた人は萩の月持って謝っておけ?って事で一つ。