「引きこもってるから、世の中の動きがわからないんだよ、カス」なんて、言われたく、ありません?

女王様と私

女王様と私

最近、本棚をしっちゃかめっちゃか動かしたせいで非常に見苦しく、ぼちぼちと片付けていたのですが、フッと森博嗣の『夢・出逢い・魔性』がラノベまとめてる段に移動しているのが目に付いたのです。そこで何気なく「あー夢・出逢い・魔性かー」とボンヤリ背表紙を眺めていたら…いきなり脳裏に閃光が走って、ああ、そうか!「夢で逢いましょう」っていう語呂あわせだったのか!!と気付いたのです。いやー俺って凄い!鈍いなーと凹みましたとさ。
それと特に関係はなく「女王様と私」を買ってみた訳ですが。黒い装丁に浮かび上がっている白い少女の過激で妖艶な顔に、金色で書かれた題名とピンクで煽ってくる文句…なかなかイカしたセンスで気に入りました。作者の方は、読もうと思いつつも読まずじまいな人だっただけに、タイミングも良し!でしたし。
さて、読んでみての感想は、デュランダル議長最高!半分嘘。後は、村上龍を連想させる内容だったかな?とも思いました。つまりは、『マリみて』を庵野テイストで味付けた村上龍、みたいな。色々邪推して下さい。
それから来未タン萌えとか書くと負けかなと思っている、とも言いたくなるような踏絵状態な展開にドキドキ・ワクワク・ハラハラします。妹は妹でこれまた反則だよなーという妹具合が堪らない。4つの願い事云々は、現実可能なものに適用されてるので全然OKだし。むしろ新鮮な感じ。ちなみに来未の名前から連想したのが、乾くるみ。何故に?
あと、随所に散りばめられた時事ネタが、主人公の視点なんでしょうか妙に個人ニュースサイトで拾われた記事を読んでいる感覚もあって。というか、「ああ、そういやこんな話、ネットで流行ったよね」って感じか。いや、むしろ「ああ、あの話元にして書いたんだな」という方がしっくり来るかも。そしてそれが、わざとわかるように書いているようにも思えます。
同時に文章に妙な違和感があったのですが、ラストまで読むと納得できました。問題作と言えば問題作ですね、コレ。読んでいる読者の性質を問うかのような、オタクであるか否かというのも少なからず影響する?しかし、お話の流れとかオチは形だけ見れば割と王道的だとも思うし…ミステリとしては安定してます。倫理的には、まあ今更感もありで。
要は、「さあ、どこを突っ込む?」と小説自体に質問されるかのような物語って事。その答えによって自らの趣味・思考を試される感覚は、しかし悪くもない。少なくとも自分は憤りを覚える事もなく最後まで読めました。何故でしょうかね?アニメもゲームもネットも普通にやってるから?いやいや、それ以上に「突き落とされたかのような」読後感も好き、というのが大きいのかも。ミーアの最期も悪くない。デュランダルの名前に敬意を表しつつ。
最後に。表紙めくった瞬間に飛び込んでくるアレな文章は、結構感心。心地よいけど普通に怖い。