回り道してきた訳じゃない

空ノ鐘の響く惑星で〈10〉 (電撃文庫)

空ノ鐘の響く惑星で〈10〉 (電撃文庫)

シリーズもとうとう10巻目、某所におけるmaijar.org - このウェブサイトは販売用です! - ラノベ リソースおよび情報の結果などを非常に興味深く拝見しつつ読了ー。うーん投票しとくんだったなぁ。個人的にはロセッティ氏とライナスティにつぎ込んでいた事でしょう。両者ともに“やり手”なところが好きです。「でかしましたよロセッティさん!」とかクラウスに言われてそうなところが堪らんハァハァ。8巻でのやり取りとか最高。
そんな人気投票はやはりウルクさんが1位だった訳ですが。今巻がいわばジラーハ編という事もあり、今までとは違う問題が浮上して来てさぁ大変。そして導き出される自らの進むべき道…いやはや、見事な展開です。ここ最近のウルクの言動たるや、悶絶級の破壊力でもって読む側をビックンビックン刺激する程でした。しかしフェリオはどうにも煮え切らない。それは何故か?という答えとも合わせて、また一つウルクは前進したな、という印象を受けました。
フェリオにしてみれば、ウルクの思いに対してどうしても消化しきれない違和感を感じている。それは、かつて自らが憧れさえした「確固とした夢を持つ」ウルクが、「夢を捨てても良いから貴方の傍にいたい」思いを吐露した事に対して。恐らくフェリオは、恋愛対象としてウルクを好きになっていると思います。とうとう本音めいた呟きすらありましたし。それでも、相手の心の迷いを見過さない「真実を見通す目」を持っているが故に相手を慮り、時には自分よりも優先してしまう。そういう意味では、今回のウルクの決断は彼にとって嬉しかったのかな、と。読んでるこっちも何故かホッとしたというか…ご都合主義と捉えてしまえばそれまでだけど、恋愛という関係ではない二人の絆・覚悟・潔さは事ここに至るまでの結末として、好感のもてるものなのです。
まあ、同時にリセリナ派な自分としてはまたまた少し寂しくなる訳ですが。背中を預けるパートナーとしての絆は失われる事はないだろうし、フェリオとリセリナの場合、始まりこそが運命の出会いなのだから。要はまだまだ特別なんよまだだまだ終わらんよ!とでも言っておきますか。
それはそうと今回の主役・神姫さまが…もの凄いですねオイ。神姫の問題発言オウイェーイ♪カシナート君まさかのツンデレ属性で興奮度もニヴァーイニヴァーイ!斯様に乱れた言語を使いたくなるほどに悶えてしまいました。神姫・ノエルの無敵っぷりもさる事ながら、カシナートの言動がもう。頬染め男性陣のイラストにまた一枚加わったわけ、か。
ツンデレ、といえばイリス。表紙からして凛々しくも儚い、可憐なビジュアルが素敵ですわ。「スフィア」がフワフワと展開しているのも面白いし。そんな彼女がかいがいしくもエンジュの世話か…やばい頬が緩む緩む。
そんなこんなで悶えっぱなしかと思いきや、何気に一巻からの因縁であるフェリオと「あの男」の戦いがかーなり良かったですし。副団長さん、密かにお気に入りだった訳ですが最後はある意味華々しかったな、と。やはりウィスタルとベリエの決闘に重なる部分も多く、弟子対弟子という構図は熱い。しかも両者ともに今回は底なしの強さを見せる展開なのがなお熱い!そして唐突な名無しの一枚絵に少しのときめき。熱い。
さて。フェリオ・リセリナ・ウルクの関係、世界の謎、数々の戦い…これまでを振り返り、これから始まるクライマックスを想像するに充分な一冊でありました。シリーズ10冊、どう「転んで」もどの陣営に肩入れしても面白いのが一つの素晴らしい特徴ではないでしょうか。またぞろ読み直してみるべし!と思いつつ。