三度目のプラネタリウム

流れ星が消えないうちに

流れ星が消えないうちに

意外といっては失礼か、でも新鮮なお話でした。家出してきた父、玄関先で寝る姉、死んだ恋人、恋人の親友だった「今カレ」、家族の形と恋愛のわだかまりがこんなに優しく表現されて良いんだろうか?という感覚がほんのりと響いてきて。
それにしてもプラネタリウムの描写は良いな、本当にその場での驚きと楽しさが伝わってくるよう。最初の願いも最後の願いも、願いをかけるその瞬間までの流れがジンワリ来ます。加持君の思い出も巧くんとの今も、それぞれが真剣な想いで綴られているからこそ、ところどころに現れる無意識の悪意という現実にもめげずに新しい一歩を踏み出す…わかりやすい構図の中に埋没させない各々の心を描いているところが素晴らしい。
好きな人の元恋人がでてくるお話は嫌いじゃない、というか結構な好みなので満足満足。もう少し言えば「女性の恋愛遍歴と運命の相手」という題材なのですが。そっちの観点からしても、相当に切なくもまったりほんわかとした仕上がりになるのが、この作者の味という事になるのでしょうか、と思いつつ。