犯罪者たちの夜

密室殺人ゲーム王手飛車取り (講談社ノベルス)

密室殺人ゲーム王手飛車取り (講談社ノベルス)

違和感なし。いや、むしろこれくらいやらないと密室殺人のリアリティが無くてつまらないかも知れないなぁと色々と間違った感想を抱いてしまうくらいには、非常識な舞台設定ですねー実に。
各々が順番に推理「ゲーム」を出題、残りのメンバーが解答当てに挑むという何処か懐かしい図式はAVチャットを利用する事によって、物理的な距離感を失くした現代的なものになってるなぁと実感です。メンバーの軽妙なやり取りも当然タイムラグのないリアリティな訳で、逆の意味で最後のオチの伏線になっているのが面白いというか。
問題作でありファンタジーでもあるので、昨今における現実世界の犯罪に関する感情はとりあえず置いといて楽しむのが吉かな、と。もし仮にこのような会話がネットの片隅で繰り広げられていたら怖すぎってモンでしょうし…と震えつつ。
ハンプティ・ダンプティは塀の中 (ミステリ・フロンティア)

ハンプティ・ダンプティは塀の中 (ミステリ・フロンティア)

推理合戦といえば、この作品も面白い。以前『出られない五人』という作品を読んだのですが、奇妙な関係で集まった人間たちのこれまた奇妙な顛末っぷりがなかなか印象的でして。しかし少々とっつきにくい部分もあるにはあるのでした。
そこに行くと、実に良くなったなぁと実感できる程に良い!と思います<『ハンプティ・ダンプティ』。大なり小なり、犯罪を犯した人間が留置場で繰り広げる面白おかしい日常劇なのですが、舞台設定からして興味深い…というか普段は想像つかない場所ですよ、留置場って。その場での生活ルールだとか派閥だとか、時に起こる謎だとかが非常にコミカルでアナーキー。登場人物の擦れっぷりも会話の端々に現れているというか、特有の会話なんですよね、また。
ちょいとした野郎共がタントウさんに「〜タン」付けされて名前呼ばれる場面など、何とも微笑ましくキモいなぁとニヤニヤしつつ。なかなかのオススメ作なのでした。