ジェリクル・ブルー

扉の外〈2〉 (電撃文庫)

扉の外〈2〉 (電撃文庫)

女子の心をホームスチール、ジゴロな高橋君の出番ですよー。という事で、電撃今月のラインナップから何故か真っ先に手に取ったのは物議を醸した金賞受賞作『扉の外』続編でした。結論から言えば、中々面白い方向にサイコロの目が出た模様。これはさらなる続きに期待が持てそうです。
今巻は何処となく『クリムゾンの迷宮』を思わせる舞台装置と駆け引きでした。そして核を成す鳥かごのエンジェルブルーと一組の女神。人間関係の推移はより進化した描写になっていてGOOD。前回に顔を覗かせた各々の本性がチラチラでては隠れてでしゃばらず、良い塩梅です。後、高橋君まわりの女性関係ね。この手の描写は妙に上手いのが早くも作者の特徴として挙げられそうな勢いです。マキマキのポニテを弄びつつ水野さんと新婚さんゴッコしつつ正樹さんには平然とプロポーズ、でも本命は蒼井さん☆て…まさに外道。ゲームを巡る言動も割りとメチャクチャ、それでいて狡猾という中々のダークヒーローっぷりがイカしてます。うわーい、でも殴りてー。
平面世界から立体世界へと進化する閉鎖空間ですが、真相はまだまだ闇の中。物語ごとの人間心理を絡めて突き進む展開は割と面白かったし、主人公の不完全さも味の一つ…かも知れません。1冊目は、不完全さ故のネガティブな評価も含めましたが、こうして続きを出せる状況になったのなら、お話の謎も上手いこと小出しで使える強みもありますし。次はまだ出てきてないクラスの面々を期待しつつ。