今全てを騙ろう

トリックスターズC〈PART2〉 (電撃文庫)

トリックスターズC〈PART2〉 (電撃文庫)

トリスタ、ひとまずの完結編。最後にして怒涛の謎解き展開は中々楽しかったです。「ロストタスク」という縛りで魔術をミステリの範疇に取り込みながら、解決編は人を喰ったかのような提示が多く「当たるかよ!」と毒づく事もあるやも知れません。しかし何処となく「まあ良いか」と思わせる佐杏冴奈と、語り手かつ騙り手である周のトリックスター・コンビが非常に上手く作用して面白いシリーズとなったのでは、と思う訳で。読み終わって、なお「名探偵」という印象は残らなかったですし。
特に、都合4冊引っ張った学園祭を巡るエピソードはどれも良かった。メイン5人組をはじめとした恋愛模様が混じり始めて、一層華やかでしたし。個人的には氷魚のエピソードがどうにも微笑ましい。後、千里。これは予想外でした。みゃー子と偵史郎に関してはこれまた意外にも真っ当なお話でしたなー。そして周と凛々子。このカップリングは1巻から安定してましたが、最後まで揺らがずに美味しかったです。2人揃っての成長を描いた一連の流れが何とも憎らしい演出です。正しく主人公とヒロイン。
シリーズの表紙を飾った3人の「トリックスターズ」、やはりイラストも素晴らしい魅力の一つでした。クロウリーと周のビジュアルを完全に勘違いしていた自分ですが、そういえば1巻の顛末が要は原因だよね…としみじみ実感。最後の最後にラストピースが埋まった気分です。最後まで追っかけてきて、とても満足。
で、オマケのクロスワードも解いてみましたが…次回作、こりゃあドえらい代物になりそうな予感。こんな2大テーマにロリっ娘過去視とボクっ娘未来視が挑む事になるのかぁ、楽しみ楽しみ。ハ!そういえば今巻に出てくるバンドのボーカル名にもそんな秘密が!ていうか、ドリフばりの場面であの台詞、心底笑わせてもらいました。結局、喰わせモンな作者だよ…と思いつつ。