鏡合せの青い鳥
- 作者: 中村九郎
- 出版社/メーカー: 富士見書房
- 発売日: 2007/09
- メディア: 単行本
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ポイントは何と言っても「悪ガキ4人組」という軸でした。一連の事件や「摂政」など、おおよそただの高校生では実現できない言動を可能にしてしまった4人のバックボ−ンが深すぎます。それでいて、恐ろしく非現実的な舞台装置なのはある意味作者らしくて安心しますが。そんな澱んだ彼らに、時には女の子が一人舞い込んできたりして、にわかに恋愛模様が咲いたりされると、もうね。読んでるこっちが困るというか。確実にサークルクラッシャーなポジションでハラハラ。何より卑怯に思えたのは、中盤の「10歳」!いかんですよ、目から汗が止まらなくなります。それでいて予断を許さぬ心理展開なのですよ!普通の純愛モノやったら心置きなく号泣してましたわ!畜生!でも素晴らしい!
あと、ミステリ的なお話としても中々の展開で良かったかと。どこを疑うのか…という前提以前の立ち位置な人物が多いので、どう転んでも面白かったとは思いますが、意外に真っ直ぐきたイメージ。真相に関しては不意打ちでしたが、あまりにファンキーな恵関連のあれやこれやと独特の文体から推理するのはちょいと難しい…ですよね、きっと。
それにしても中村九郎作品にヤンデレは当てはめ難い…としみじみ思いました。だって病んでる世界でのヤンデレはもうヤンデレじゃないような気がするのです。さておき、今までで一番読みやすい上に現実世界のお話です。これは読んどくしかないでしょう。読んでどうなるかはその人次第。自分は途中で泣いて、最後で眩暈。でも青春小説としては至上の作品。とふらつきつつ。