ウルフズ・イン・ザ・スーパー

ベン・トー 1 サバの味噌煮290円 (スーパーダッシュ文庫)

ベン・トー 1 サバの味噌煮290円 (スーパーダッシュ文庫)

熱い。そして濃い。シリアス・ギャグアクションとは良く言ったもので、割と笑えない描写に笑えるポイントが多くて困り者。とりあえず石岡君と内本君目立ちすぎ。あと主要登場人物中、最も多くの言葉で紹介されつつまるで出番のない著我あやめさんが気になる今日この頃。
という訳で、半額弁当を巡るスーパーでの熱き戦い…はもちろん良かったし、それ以上にシュールなキャラの応酬が面白いです。白粉花の妄想や白梅梅の手癖の悪さにいちいち噴いてました。名も無き顎鬚や茶髪の格好良さ、半額に彩られた珠玉の弁当描写などなど、見所読み所突っ込み所には欠かさない内容の中、氷結の魔女が一番ヒロインらしい可愛さなのも個人的にはヒット。主人公も主人公「らしさ」があって、そこが意外と熱血王道モノとして成り立っている要素ではあるのですが…いかんせん、そういった基礎能力を培った背景に涙を禁じえない過去があったりして、中々癖のあるヤツだなぁと。クセといえば、白粉の男台詞口調が『夜明けのブギーポップ』を何となく連想させるのは自分だけでしょうか。
そして何より良いのは完成度の高さ、ではなく未完成ゆえの荒々しい魅力…という事になるのではないかと。続きで小出しにしても構わないくらいの中身を詰め込んだ濃さがある。一方、「魔導師」と「氷結の魔女」の因縁やダンドー込みの猟犬群など、語られていない部分も多くて、これはもう続編を出してどんどんとプロットを回収して欲しいなぁと切に願う次第です…と、作者のシュールなセンスに脱帽しつつ。