夏の思い出

久々のヨダ絵に軽く吹く。という訳で一迅社文庫初読みはアネモイ、君に決めた―!コンセプト的に題名は帯の文句よろしく「巫女が主で下僕が俺で」でも良かったとも思いますが、どうか。
ところで紫苑と聞くと思わず『ぼく地球』を連想しちゃうんですけど、小説を全部読んでみると成る程、キーワードとしての共通点がありますね。いや、勉強になりました。帯のデザインも中々。
ある田舎町のちょっと変わったお祭りを巡る、年中巫女さんな少女と「水難の実害あり」な少年のラブコメは読みきりとしては王道的フォーマットに乗っ取りつつも、軽妙なやり取りが楽しい作風。主従な2人にアネモイが加わると更にとぼけた会話が増えて面白かったです。
アネモイのキャラって、立ち位置でいうとTH2のるー子で言動は『あやかしびと』のトーニャの兄貴(変態)といった所でしょうか。ちょっと無理のあり過ぎる説明ですが。「言」については、〜です?用法や「うるさい黙れ」などが良い感じで田中さんチック。人外ロリって良いよね、な嗜好は無いのですが感情の起伏に乏しい娘の表情が崩れる一瞬は割りと好きで、切なくて明るい場面だと尚!というフィーリングにピッタリくる人は是非。
「主と従」を巡る三角関係な流れと、風変わりな「お見合い」の意味合いが特に良いなと思うのですが、陛下とかゴスロリとかヒミコとか、読み切りだと力を出し切れない的キャラもいたりして、もう少し長めで読みたいというバランスでもあり。良い意味で勿体無い作品ではありました。
イラストはカラーも良いけどモノクロも素晴らしかったのが嬉しい誤算。割と珍しいかも。あと、くちづけ以上はNGで、お風呂で全裸はOK…か、とレーベル基準に目をやりつつ。