2008年上半期ライトノベルサイト杯
駆け込みで申し訳なくも参加です。今年の上半期は、読むペースはほぼ変わらずとして、感想を書く量がまた減った…という体たらく。レーベル的には、一迅社文庫が今のところ全作品ハズレなしという印象です、絵的な意味で。ジャケ買い派として選別している身には大打撃(お財布的な意味で)。中身も上々な作品が多いので問題はないんですけどね。
- 新規作品部門
生徒会の一存―碧陽学園生徒会議事録〈1〉 (富士見ファンタジア文庫)
- 作者: 葵せきな,狗神煌
- 出版社/メーカー: 富士見書房
- 発売日: 2008/01/19
- メディア: 文庫
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「特に何も起こらない」ストーリーが却って話題を呼んだ迷作。角川グループならばネタにしてもOKな…だけじゃなくて、その他マンガ・ゲームなんでもござれなメタでパロな会話が楽しいです。あと、語り手である主人公ポジション・杉崎鍵の言動が最低なのに熱いのが困るというか。思わず感動しちゃったじゃん!と突っ込みいれたくなる一般生徒の気持ちになって読んでるんだよなー、と実感できます。個人的には「ハーレムルート」について一考したくなる、意外と侮れない作品なのでした。
ベン・トー 1 サバの味噌煮290円 (スーパーダッシュ文庫)
- 作者: アサウラ,柴乃櫂人
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2008/02/22
- メディア: 文庫
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これは半額弁当を巡る、熱き狼達の物語である(CV:小林清志)。
という訳で、最高に馬鹿馬鹿しくて最高に熱い『ベン・トー』に是非も無く1票を。ところでこの題名、ベン・ハーとは特に何も関係ないですよね?何となく気になりまして、つい。サブヒロインの趣味:BLで主人公をカップリング妄想するあたり、『生徒会』シリーズの真冬と被っているのは、やはり流行?
イキガミステイエス 魂は命を尽くさず、神は生を尽くさず。 (富士見ミステリー文庫)
- 作者: 沖永融明,KEI
- 出版社/メーカー: 富士見書房
- 発売日: 2008/04/19
- メディア: 文庫
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荒々しく、雄雄しく、小っ恥ずかしく。10代でしか書けない作風、なーんて言うと失礼なのかもしれませんが、とにかく勢いで押し切ってくれる面白さが心地よいです。死神とは少し違う「生神」の在り様も、最後まで読めば納得できる?かもです。
ある夏のお見合いと、あるいは空を泳ぐアネモイと。 (一迅社文庫)
- 作者: 朱門優,鍋島テツヒロ
- 出版社/メーカー: 一迅社
- 発売日: 2008/05/20
- メディア: 文庫
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いやー、何かこう、ほんのり清清しい気持ちで読み終わった後のヨダ絵に遭遇した胸キュン…が堪らんと言うか。続々と参入してくるエロゲライター陣の中でもお気に入りとなりそうな予感。あ、でも作者がシナリオを担当したゲームはやった事ないです。という訳で、今度はpropellerで是非一つお願いします。
- 作者: 岡篠名桜,甘塩コメコ
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2008/02
- メディア: 文庫
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100%個人的な趣味です。透明感のある文章がお気に入り。特にドラマチックな展開もなく、淡々とはしていますけどね。大正桜に浪漫の嵐!結んで、解いて、あるいは断つ。そんな物語。
- 既存作品部門
オイレンシュピーゲル肆 Wag The Dog (角川スニーカー文庫)
- 作者: 冲方丁,白亜右月
- 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
- 発売日: 2008/05/01
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スプライトシュピーゲルIV テンペスト (富士見ファンタジア文庫)
- 作者: 冲方丁,はいむらきよたか
- 出版社/メーカー: 富士見書房
- 発売日: 2008/04/19
- メディア: 文庫
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既存作品については、今回もどれを選ぶか悩む作品が多くて困りましたが、両シュピーゲル作品だけは別格でした。桁違いに面白い。どうやら全体を通してスプライトの方が人気が高いみたいで、4巻についても例の「ゲーム」がマルドゥック・スクランブルの神の如き「あれ」を思い起こさせる素晴らしさ。それでも個人的にはオイレンの方がやっぱり好き。涼月・陽炎・夕霧の3人が、皆揃って最高に良い女だと思う。夢を見るな、尻尾を振れ。屈辱的な言葉に隠された真実を見た時、興奮が止まらなくなる筈。今期最高傑作で間違いないです。
- 作者: 扇智史,尾崎弘宣
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
- 発売日: 2008/04/28
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上半期、一番の衝撃作。 扇智史初のシリーズ作は2作目で堂々の完結、しかも壮絶なバッドエンドで。いや、バッドすら生ぬるく、型月的表現ならばデッド・エンドに相当するシナリオ。こんな形で締めくくる事のできる作者の才能に、改めて惚れ直したというのが素直な感想です。 扇智史、大好き。
- 作者: 榊涼介,きむらじゅんこ
- 出版社/メーカー: メディアワークス
- 発売日: 2008/03/01
- メディア: 文庫
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止まる事を知らない榊ガンパレ、今年も楽しませてもらってます。『撤退戦』でのオリジナルキャラが再び登場したり、軍上層部のおっさん連中が渋くて堪らなかったり、山口防衛戦とはまた違う海兵旅団と5121の付き合い方が面白かったり…と、巻を重ねる毎に新しい組み合わせがあって、本当に良い長期シリーズになったなぁとしみじみ。気が付けばオリジナルキャラの顔紹介だけで16人いるし。まだまだ続きが楽しみです。
- 作者: 杉井光,岸田メル
- 出版社/メーカー: アスキーメディアワークス
- 発売日: 2008/06/10
- メディア: 文庫
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去年が中村九郎イヤーとするならば、今年は杉井光イヤーになりそうな予感。今、青春モノ描かせたら一番面白い作家さんじゃないかと思います。その中でも、打ち切りと思わせておいて登場したニート探偵は、やっぱり一番好き。1巻を補完するような内容は、やっぱり完結なのかな…という感じですが。できれば続いて欲しいな、とも思いつつ。