さようなら、お姉さま

マリア様がみてる 33 ハローグッバイ (コバルト文庫)

マリア様がみてる 33 ハローグッバイ (コバルト文庫)

世界観は続いても、祐巳と祥子のお話は幕を閉じる―そう思えば、やはり34冊分の歴史が次々に思い出されて。読み始めの頃は夢中になって読みました。長丁場な展開が続いて、口では飽きた飽きたなんて言いながらも、当たり前のようにコバルト文庫という少女小説を読んでいたここ数年のライフスタイルの在り様は、ふと冷静に考えれば凄い事です。本当に素晴らしいシリーズをありがとう、そんな気持ちで一杯です。何でしょう、卒業式に一緒に参加している気分です。
そして、色々と語りたくて仕方がない場面だらけで、逆に言葉にならないと言いますか。それだけのオールスターキャストなんだよなぁと。やはり先代薔薇様の絡みは最高に良いし、笙子と江利子のちょっとした会話とか、ちさとの意外なる活躍とか、いちいち面白くて堪らない!そんな中でも印象深いのは「呼び捨て」にまつわるエピソードですね。
祥子と令の関係はとても素敵で、戦場においては安心して背中を預けられるような間柄、というのが個人的にしっくりくる認識です。それだけに、初めて「祥子」「令」と敬称なしで呼び合うお話が披露されるとは!当たり前のように思えた部分も、こんな舞台裏があったんだなと思えば新鮮でした。それにしても、白薔薇さん家の聖ちゃんは!という微笑ましさ。当時の悲しみは深くても、本質的な性格はやはりアレなんですね…とニヤニヤできます。
ところで呼び捨てエピソードというと、妹の祐巳由乃も負けてはいません。むしろ、破壊力においては由乃の方が上だと思います。本当に胸がキュンキュンってしたよ!しかし、あの場面で呼び捨てが定着しなかったのは実は痛かった?祥子・令のお話からするとタイミングが重要なのは間違いないし。でも、祐巳たちは3人で一組だから、目指すのはむしろ先代薔薇様の関係。志摩子さんあたりが自然と呼び捨てしそうでもあるし、由乃が強引にやりそうでもあるし…これから先のお楽しみなのは間違いないかと。
最後は由乃が菜々を妹にして、全ての物語が消化された…かどうかは読む人次第でしょうか。個人的には新たなる展開を早くも期待しています。その一方で、マリみて完結の余韻にほんのりと浸りつつ。