ファンタジーとの穏やかな融合

電撃文庫ひかりのまち」感想。
「純文学って、何気にSEX描写が多い。そしてそれが必要なシーンかというと、割りとそうでもないんでイライラする」などと友人が言ってた事をぼんやりと思い出しました。その割には村上春樹とか浅田次郎とか好きなので謎だ。自分は「鉄道員」くらいしか読んだ事ないんで良くわかりません。
で、話を「ひかりのまち」に戻すと、まず世界観が、割とすぐに現実の世界を連想させるんですが、その組み合わせ方が結構新鮮で。たいがいは今より文明が高度に発達してたり、古代のヨーロッパを思わせるような自然風景が広がったりするけど、この作品は日本のとある地方都市の実情と異国の荘厳な景観が同居してて不思議な読み応えを残します。
後、話自体はこう、文化祭の夜に一枚の毛布を2人で腰まで掛けて、その中に手を入れてきたアイツ…みたいな甘酸っぱい青春に「イヤー!豆ご飯はイヤー!」と叫ぶ兄に隠された謎を追う古代ミステリーが合体してて楽しめました、野田秀樹の「20世紀最後の戯曲集」。…あれ?要はパンドラの鐘です。
と言う訳で、淡々としてるけど少し不思議な印象を受ける作品です。読んでみて、その曖昧な境界線にしばし考えを巡らせるのもまた一興ではないでしょうか。