死神はMusical Batonを廻すのか?

死神の精度

死神の精度

7月に入ってからの雨の多さを、予想していたかのような一冊。うーん、雨が降るたびに「また仕事なのね」などと妄想するほどにハマってしまいました。
6つの連作短編からなるお話は、小難しい内容でもなくスルスルと1、2時間で読める程。主人公の受け答えのズレっぷりから存在自体の珍妙さに、ミュージック大好き人間死神という可愛さ。今は決して遭いたくないけどいつか逢いたい…そんな魅力があります。具体的に、どういう人物が死神なのかというと、

  1. CDショップに異常に入りびたる
  2. 苗字に町や市の名前がつかわれている
  3. 受け答えが微妙にずれている
  4. 素手で人に触ろうとしない
  5. いつも雨にたたられている

こんな感じらしい。思わず探したくなるような条件だなぁ、と。ちなみに天使は図書館に集まるんだそうな。どんな映画だろうか?いずれにせよ、こっちも不思議と納得してしまいそうな響きがあるかも。死神はCDショップ、天使は図書館…っと。
それにしても死神が絡むと、サクセスストーリーもヤクザの抗争も雪山でのミステリも恋愛も、どれもこれもが軽妙な物語になっていて…新鮮に思えるんでしょうね。そしてラストで少しの驚きと、いつも通りならあり得ない風景が現れてEND。後、構成として繋がってないようで繋がっているという手法は目新しくは無いけど、死神だからこそ体験できる繋がりになっているのは面白かったです。あ、他作品の人物も顔出ししてくるのは相変わらず。でも嬉しい仕掛け。
という訳で神様のレシピならぬ「死神のレシピ」、堪能堪能ー。