チェンジ・エヴォリューション!

32歳ガン漂流 エヴォリューション

32歳ガン漂流 エヴォリューション

略して『ガンエヴォ』。滅茶苦茶、格好良い!こんな題名に誰がするよ?って思わず感心してしまいます。この本だけは、出た当初に本屋でチラリとページを捲った覚えがあるんだけど、開いたページがハゲが云々、ハンバーガーでも何でも良いから食った方が良い、と言った部分。当時の感想としては「うーん乱暴」てな所。
で、この本と再会したのは「ETV特集を見て読んでみようと買ったら面白かった。だから読んでみぃや」と手渡されて。大反響!って煽り文句には何故か尻込みしてしまう性質だけど、前作ともども、日記系の本としてかなり面白いです、やっぱり。
構成としては、脚注が無くなった代わりに書き下ろしと思われるコラムが挿入されている形。日記の流れといい、かなりまとまった印象で、3部作の中では一番充実できる読み応えアリ。1作目の実験的な作りも2作目の『ガンエヴォ』の読みやすさも意図しての事だし、いろいろ比較できるのがまた楽しい。「楽しい」って単語がどうよ?だけど内容はどうしたって「楽しい」というのが一番似合う本なんだよなぁ、と。
ちなみに今回、目からうろこ的な内容だったのはロバート・キャパについて。写真は撮るのも観るのも全然な方で、この一億総デジカメ時代において、まだ一台たりとも(デジタル)カメラを所有した事がない…そんな自分でも知っている写真家なのですが!うーんそういう成り立ちなのかーと思わず唸ってしまいました。まあ、この人達の写真を詳しく観た事もなく、野田秀樹の『Right eye』だったかレフトアイだったか、そんなお芝居を見て名前を知ったくらいだからなぁ、酷いモンです己の教養レベルも。
コラムの中では、映画について触れているモノが何しか、納得。例えば友達とか彼女とかと観に行くのは別にして、「この映画を見よう!」って気概を持って観るシネマというのは案外少ないんですよね、そういえば。そして、ついつい「1000いくらは高いよな…」と考えがちだし「イマイチな評価なんだよね…」と尻込みしがちなんですよ。そうじゃなくて、実は映画って贅沢だし安い時ゃ安いし、もっと気の向くままに見に行けば良い。そんな文章がすんなり、心に響いたのでした。その他のコラムも、理屈っぽいけど思わずうなずけるモノになってて「うーん上手い」。
かなりベタ誉めなんですが、「普通に」イケてる内容なのが最大の特徴なのです。もっと言いたい放題してくれ!って望んでしまうのもあるでしょうしね。そこをギリギリ、バランスとってるから上手いし。端々に散りばめられたブラック・ジョークも秀逸。B.C(Bifore cancer)にA・D(After disease)て。やっぱ凄い。