感じたい そのクールな眼差し

触身仏 蓮丈那智フィールドファイル? (新潮文庫)

触身仏 蓮丈那智フィールドファイル? (新潮文庫)

気がついたら蓮丈那智フィールドファイル第2段が出てました。そもそも単行本で出ていたのは気がついてなかったのですが。時系列から見ると、このシリーズを初めて知ったのが文庫化されてからであるからして、 その存在には気がつきにくい…という事にしておこう。そもそも文庫しか買わない派であったからなぁ、単行本サイズでも手が出るようになったのは最近からなのでありました。(理由=金がない。)
そして何とドラマ化!これは驚きです。恐らく2時間サスペンスなのでしょうが、なかなかマニアックな選択じゃないのかしらん?と失礼にも思いつつ、逆に「蓮丈那智」というキャラクターの魅力というかエンターテイメント性はなかなかのものであるとも言えるかな。主演は木村多江!結構好きな女優さんだ。脇役として自然でいて、光る演技を見せてくれるのが良いなぁと思っていますです。それでも正直に言えば、全然イメージではない。が、どんな女性でも蓮丈那智という人物に当てはめるのは難しいし、ビジュアル的に近い人であればある程、今度は内面を再現するのが難しいでしょう。つまり似ていれば似ているほど、ちょっとした違いが大きなギャップとなって感じてしまう事になる。それならば、いっそ木村さん演じるところの蓮丈を観た方が色々楽しめるというもの。個人的な趣味も多分にあっての印象ですけども。
小説自体は、ドラマ化決定という情報も頷けるくらいに動きのある、華やかな内容でした。「狐目の教務」の意外な履歴・もう一人の助手の誕生と、蓮丈先生―内藤ミクニ助手のホットラインのみで語られた前作とは違い、かなり賑やか。それぞれのエピソードに関しても、有名どころのものが多かったと思います。わらしべ長者とか、山幸彦とか。その裏に隠された真実に対する迫り方・解の求め方は相変わらず学術的で、探偵の推理部分とはまた違った文法であるのが新鮮です。ある意味、堅苦しい文章のアプローチこそが、このシリーズ最大の魅力と言っても良いかも知れません。
人物面では、語り部であるところの内藤君も、今回は女難の相でまくりで面白かったです。おっさんになったり乙女になったり思考回路が単純かつ複雑なところも笑えますし。先生に「ミクニ」と呼ばれてゾクゾクするというのが、いつものお約束で、そっちの方もより過激になってて…正直、少し興奮。
最後に。「アイドルは、貶められるために、つくられる」という言葉はやはり意味深な言葉だと思った。という訳で、早晩のうちに『アイドルマスター』やってみます、「与狐紗恵」とでも名乗ってみて。うーん、胡散臭い。ちなみに同一人物説にはワタクシも同意なのでした。