わたしたちのフェリオ君

空ノ鐘の響く惑星で〈8〉 (電撃文庫)

空ノ鐘の響く惑星で〈8〉 (電撃文庫)

シリーズ中、最大規模の戦いを描いた第8巻。人材が揃いつつあったアルセイフ側の展開からすれば、すんなり行くかな?とお気軽に予想していたら、あらゆる意味で裏切られた感じです。それほどまでに今巻の『空鐘』は読み応えアリで面白い!
というかですね、ここまできても尚、要らない・つまらない登場人物が皆無であるというのは…今までもそういう作りだったけれど、改めて個々のキャラクターの味わいに痺れてしまいます。新登場のおっさん、じいさんにこれだけ感動してしまって良いのでしょうか。
そして気になる出会いも2、3あってこれからの楽しみが増える増えます。欲を言えば、フェリオも一絡みしてくると良いんだけどなぁ。まあそうでもなくても、三角チックな関係になりそうなので今後の展開を考えるだけでニヤニヤしてしまうんですけども!
そして今回の主役は「馬」!馬大活躍ですな!きっと最初の方で馬殺し過ぎて心を痛めた作者さんの、「いつか馬にも活躍の場を…」というメッセージに違いないです。嘘。むしろそれよりは鳥ですねー鳥。それと鳥に乗ってる人々。シズヤだけかと思ったら結構な数がいたんですね。そのシズヤさん、何気にイラスト率高いし。表紙絵など、地味な配色なんで一見普通なのですが…見えてる見えてるよ!白とか!反則ですねこれは。挿絵にしても、まるでベルレフォーンでも使い出しそうな立ち姿にゾクゾク来ます。あとはエイミーも何気に良いかも。アカツキはどうでもよし。ビジュアルは格好良いけど。
とにかく、読んだ後の充実感や満足感という点では『空鐘』中で1番かも知れない。それ故に、何でも良いから早く読んでくれ!としか言えないです。そして読み終わった瞬間から、「次」が楽しみで仕方なくなる筈。年内の刊行予定で正直助かったとすら思える…。何とも罪深いもんです。
最後に。ふと思ったのは、レージクとカルバイの似たもの同士な部分。清濁併せ持つ、というよりは享楽主義なんだけど、その内に隠しもつ切なる願い。フェリオが「それ」に触れている、という点において決して無意味な思いにはならないのではないだろうか?そう願いつつ。次は「手取り足取り」で忙しいだろうけども。いつかはきっと。