私的ブック・オブ・ジ・イヤー2005

という訳で今年の「読書」を振り返り。ライトノベル8割ミステリー・エンターテイメント2割という偏った読み方かつ、両者の境界線を気にせず勝手にランキングあれこれ形式で。


・私的ブック・オブ・ジ・イヤー2005

死神の精度

死神の精度

ダ・ヴィンチ』のミステリ・エンターテイメント部門で1位を獲得した事には半分驚き、半分納得でしたが。個人的にも今年一番オススメの作品なのは間違いないです。「死神」千葉というキャラクターの魅力、知れず寿命を迎える人間の生き様、偶然?が重なり重なり訪れるラストシーンの清清しさ…どれも非常に軽快なタッチで綴られているのが良い!のでした。
空ノ鐘の響く惑星で〈7〉 (電撃文庫)

空ノ鐘の響く惑星で〈7〉 (電撃文庫)

空鐘』シリーズには今年も大満足でした。「安定感」というフレーズでもって評される事も多いですが、5巻以降は戦記もの・正統派ファンタジーの出来に加え、色恋沙汰がにわかに華やいできたのが印象的。それも悶絶級の三角関係。今年の話題では『わたしたちの田村くん』でしょうが、それと同等以上の威力は確実にあります。ウルク派とリセリナ派の統計をとってみたら面白いだろうなぁと思う次第。ちなみに自分はリセリナ派。ピンクの私服姿に魂を揺さぶられた…!
白い花の舞い散る時間 (コバルト文庫)

白い花の舞い散る時間 (コバルト文庫)

今読むなら是非2冊連続で!今年、何よりもワクワクした読み応えを感じました。…というと少し屈折した感情なのですが。デビュー作の驚きと2作目の結末が良い感じにブレンドしてくれる筈。
キリサキ (富士見ミステリー文庫)

キリサキ (富士見ミステリー文庫)

シナオシ (富士見ミステリー文庫)

シナオシ (富士見ミステリー文庫)

非常に良い!このセクシャリズムは妙にツボにきます。『ROOM NO.1301』シリーズや『DEAR』シリーズが好きな人には激しくオススメ。特に後者は、少し世界観が似ていますが気にしない。まだまだ「ミステリ」という部分でも頑張っているのが好印象。今後の展開に期待です。


・ビジュアル賞・ジャケット編

ライトノベル最大の特徴、それはイラスト付きである事。故に「ジャケ買い」という概念が存在し、一喜一憂の種となる…。いくら中身が面白いと評判が立っても何となく手を出す気になれないという事が多々あるのですが、自分の場合これは間違いなくイラストの好みが影響しています。
しかし逆に、ひと目見た瞬間に顔がにやけたりワクワクする表紙に出会える時があるのもまた事実。今年はシリーズを継読していくためのこの上ないモチベーションとなったビジュアル、という観点からこの2冊を推したい。中身が多少だれても良い、このイラストが拝めたならばという最低ラインは言うに及ばず。文章中に出てくるキャラ描写と相まって破壊力抜群なヒロインに乾杯っ。


・ビジュアル賞・折込イラスト編

飾られた記号―The Last Object (電撃文庫)

飾られた記号―The Last Object (電撃文庫)

乃木坂春香の秘密(2) (電撃文庫)

乃木坂春香の秘密(2) (電撃文庫)

一つ手に取りページをめくれば、ゾロリと現れるキャラクター達の紹介を兼ねたカラーイラスト。この部分に近年インパクトを与えたのは『神様家族』だと思いますが、どうなんでしょう?作品の雰囲気や流れがつかみやすくなるだけでなく、デザインやイラストそのものに趣向が凝らされているのが楽しいです。
『飾られた記号』は一枚絵の出来具合がとても素晴らしい!乃木坂春香シリーズは、イラストのエロ可愛さもさる事ながらCONTENTS部分のマスコット具合が良く出来ていると思います。


・問題作

女王様と私

女王様と私

トリックスターズ (電撃文庫)

トリックスターズ (電撃文庫)

今年は「ライトノベル」という単語の定着化と、そこからの「逸脱」が気になる一年でもありました。カバーイラストなし、衝撃作に異色作…中でも「問題作」と評される作品は多かったと思われます。
個人的な好みを加味すれば、読み応えも含めての作品が上2つ、『トリックスターズ』は在りようそのものに対してのモヤモヤ感あり、という事で。小学生に罵倒されたい人には激しくオススメなのが『女王様』。