ブロードウェー百年(最終回)〜拍手は鳴りやまず〜を観る。

とうとう最終回、1980年から現代にかけてのミュージカルが。ロンドン発、ロイドウェバー作曲の『CATS』『オペラ座の怪人』、『レ・ミゼラブル』『ミス・サイゴン』などは割と軽めの紹介でした。これらの作品が「ポップオペラ」という流れを呼んだ、という感じで。この中ではやはり『CATS』の独自性が目立つな、と思いました。これまでのブロードウェイの歴史を辿ったきた目からは、非常に斬新な存在に見えるから不思議です。ミュージカルこそキャッツだ、なんて思ってましたから余計に。
もう一つ、『ラ・カージュ・オ・フォール』という作品が時代を象徴しているな、と思えたのは同性愛というテーマにエイズという問題が出てきたという事。多くの才能あるダンサーや演出家にとっても深刻な問題だったようです。
90年代に入ると、ディズニー作品のミュージカルが進出。アニメの音楽をブロードウェイの作曲家が手がけているなど、両者の関係は良かったという経緯もあったようで。更にはN.Y市との関係も。治安の悪くなった地域を企業が劇場を再建した事によって、家族が安心して来られるような場所に復活させたというのは興味深い。ちなみに、ディズニーものは一度も観た事ないです。あの世界観を舞台で再現しているのは素晴らしいんでしょうけど、やはりCATSの成功が一つお手本になっているんじゃないかな、と考えてしまいますわ。
21世紀としてのヒット作としてはこれから、という事になるんでしょうね。事件といえば、あの同時多発テロでしょう。閑散とした通りに劇場…こういう時こそミュージカルを観よう!と、様々な作品の登場人物たちが大勢集まって歌う姿が印象的でした。
近年におけるミュージカルの多様性は、制作費の高騰化や映画タイトルの舞台化などで、また新しい側面を見せている、か。最後に紹介されていた『ウィキッド』というミュージカルは中々良さげな。日本受けはするんじゃないかな?
それにしてもブロードウェイの100年の軌跡、非常に面白かったです!時代とともに変化していきつつも、ブロードウェイでミュージカルは上演され、また世界中からの喝采を浴びる…そんな形はこれからも変わらないだろうし、またそうであって欲しいなと思わせる輝きがそこにはあると信じつつ。