七番目の天使

さよなら妖精 (創元推理文庫)

さよなら妖精 (創元推理文庫)

講演会の後、駅ビルの三省堂書店で購入、帰る道々読んでましたが…これは良いものです。旧ユーゴについては、少し前にモンテネグロが独立したことで完全に解体、という状況も相まってか、マーヤの自国に対する思いや何気ない語りが非常に心に響きました。
その中でも、守屋に囁いた、ある意味非常に怖い台詞がど真ん中にきたというか。マーヤのほんわかとした空気と対極にあるようで、常に内在している民族的意識は、彼女を決して幸福な二ヶ月に留める事にないのは明白。それでも守屋が彼女に「世界」を求めたのは、やっぱり何だかんだで恋なんじゃないか、と。恐らく、物語の当事者にとってはどちらとも言いかねる、もしくはそんな言葉で括られたくない感情かも知れないけど、自分にとってはシンプルに恋物語として読むのが楽しかったし、泣けました。
そうなると、何といっても可愛いのはセンドーこと太刀洗万智。クールなようで繊細な心持ちなのが素敵。いずるさんの方は、プレゼント云々でみせたあんた呼ばわりが良いアクセントだよなぁという娘さん。平素はもっとのんびりしてそうなんですけど。
願わくば、妖精に触れた4人の物語が幸せでありますように。