一万回と二千回前から愛してる

八千回過ぎた頃かーらも♪…と口ずさみたくなるかどうかは不明として。前巻からの続き、ループする終末直前の世界に立ち向かう3人の物語の完結編。
およそ世界の謎については、解明することが難しそうな展開だったのでさほど気にはならなかったものの、語り手が桜井深優というのは何とも変化球を見逃したような気分。×40バージョンでの告白シーンはストレートで良いのですが…ミキミキだよなぁ、とも思う次第なのでした。
「鍵」である星野留美の行動と世界のシンクロは、最近で言えば『暴走』の「エンドレスエイト」を思い起こさせる程の試行回数なんですかね?そして「終わらない夏休み」の単語通り、心地よいトライアングルでの交遊をループ世界で「ループせずに」過ごすというのは魅力的なことかも知れないけれど。誰かの為に、また自分自身の為に生きるという願いを見つめ直して元の世界に帰る姿は、王道だけどグッとくるシーンでした。
「大舞都亜美の終末」「星野留美の終末」が揃って初めてお話が完成するような印象ではあるのですが、永遠の夏休みを乗り越えようとする3人と直接的に力を行使する少女のクライマックスシーンは印象的。魔方陣あたりの説明を詳しく挟むと電撃文庫のテイストに近くなるのかな?投げっ放しで読者に預けるのもレーベルの特徴とするなら、それはそれで面白いかもね、と思いつつ。