ディープ・ディスタンス・ディスコミュニケーション

DDD 1 (講談社BOX)

DDD 1 (講談社BOX)

それは骨の軋む幽かな夜。花開くような、美しい命の音。

うーむ、己の持つ腐女子脳(未)とか腐女子脳(偽)が同調開始してしまいそうなヒロイン…じゃなかった、雇い主とヒモの関係がとても素敵だなーとおもいました。流し目で誘惑されてぇ。
しかし、この作者の文章を小説として読むと、改めて魅力というか「味」が実感できて良いなぁと。『月姫』や『Fate』は二次創作を含めた広大な幻想世界を築き上げているので、芯であるはずの奈須きのこテキストがともすれば空気のような当たり前の言語となって、その特異性を感じにくくなっていたのかも。その点、『DDD』における、ほんの少しの認識の異相から繰り広げられる凄惨な事件と真相が、ひどく疲れる・けど面白いという重さを感じられて心地よい…マゾヒティックな時間を過ごせます。他人=本人の視点語りは一つの特性ですね、もはや。
あと、微笑ましいのは妹さん。なんか、「らしい」なーとしみじみ思う訳でして。兄の性格というか言動の軽やかさもかなーり良いアクセントなのですが、雇い主同様、いまだにみえてこない能力の全貌が暗い期待を抱かせてしょーがない!何年後かは知りませんが続刊に期待という事で一つ。しかし、地味にイっちゃってる内容なのに本屋さんではやたらと目立つところに置いているアタリ、良い時代になったもんだなーと感心しつつ。