誉れ高き名作を再び。

銀河英雄伝説 1 黎明編 (創元SF文庫)

銀河英雄伝説 1 黎明編 (創元SF文庫)

レーベル的には落ち着くところに落ち着いたかな、とう印象があります。それでいて、徳間デュアル版のファイナル・バージョンの文字が虚しく躍る訳なのですが、これは文字通り徳間での最終形態って事で筋は通るのね…と苦笑い。
イラスト大目のデュアル版が結構好きだったのですが、やはり雰囲気は創元のお堅いバージョンの方がしっくりきてます。新しい世代の人に触れる機会が多くなるという意味では、何度復活してもらっても構わないだけの傑作かと。新刊扱いで手にとるチャンス、思い切って読んで欲しいなーと願うばかりであります。
改めて読む側にとっても、やはり面白く新鮮な部分が多々あります。何やかんや言っても、田中芳樹が描く愚かな権力者もしくは一般市民の強烈さには驚かされます。作者の政治思想はさて置き、人間の醜い言動を描ききる事の勇気を今は何となくわかる気がする…ごく幼かった時に比べれば。そして旧世代に対するヤン、ラインハルトの言動も恐ろしく鋭い。昔はあんまり気付かなかったんですよね、何故か。
そういう訳で、酷いキャラは本当に死ねよ!と思うくらいのキャラだったりするので、ライトノベルと捉えて読むと結構珍しい部類に入るのが楽しい一冊にもなるので是非。でもラノベというならオススメなのは徳間デュアル版だったりしますが…何でもいいから読もうぜよ、と思いつつ。