アリフレタ 中村・地雷・Good by

誰の台詞か判別つかんし文法が正しいのか疑問だし、相変わらずの読みにくさ。それでも、最後まで醒めずに読めてしまったという事はつまり、「面白さ」が「読みにくさ」に勝っていたのでしょう、自分の中で。…何故か微妙に悔しい。この作者がありふれた作品を書くと面白いという意味が込められた題名なんだね、と勝手に解釈して溜飲を下げときます。嘘。
しかしありふれたお話でもない。しかも、あまりに難解な語調に隠された伏線が見え始め、話が動いた時には思わず感心しましたよ。叙述トリック(つまりは読みにくさ)をナチュラルかつ強引にかます事によって、ご都合主義的な展開に興醒めするでもなく、何となく綺麗にまとめてしまったのは…はっきり言って奇跡的なバランスかも知れない。矛盾した言動をもつ各々のキャラクターが上手く表現できているかは微妙ですが。一見すると支離滅裂。
キャラ描写については、「ビップ」と称され「神話の遺産」という特殊能力を持った者達の超常バトルが軸とあってか、変なヤツらばっか。いわばブギー・ポップ調。センスの方向性がメビウスの輪っかみたいに捩れて繋がるような共通性を持っているようにも思えて。端からいきなり、「丸くて、白い!」とは中々笑わせて楽しませてくれます。
とにかく、今年読んだ新作の中で一番突き抜けていると感じたのは事実。最初から突き抜けてるやん色んな意味で、という心の声はとりあえず無視しておいて、5月予定のガガガ文庫の方もチェックチェック…と思いつつ。