涼宮ハルヒの呪
- 作者: 谷川流,いとうのいぢ
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2007/03/31
- メディア: 文庫
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- 百人一首と百人秀歌がセットで出てきた意味。
本文のハルヒと鶴屋さん、長門のやり取り通り、百人一首の源俊頼の歌
うかりける人を初瀬の山おろしよ はげしかれとは祈らぬものを
が百人秀歌では
山桜咲きそめしより久方の 雲居に見ゆる滝の白糸
に変わっています。それと、鶴屋さんと長門が三回ほど交わした歌は、百人一首の中から二首削られて百人秀歌に入る三首
夜もすがら契りしことを忘れずば 恋ひむ涙の色ぞゆかしき
春日野の下もえわたる草の上に つれなく見ゆる春のあは雪
紀の国の由良のみさきに拾ふてふ たまさかにだに逢ひみてしがな
の事でしょう。こうして見てみると、ただ単に今回の登場人物の関係図なような気がしないでもないかな?百人一首が100首・百人秀歌が101首あるという比較に関しても、α/βの文章に対応している以上の意味はなさそう。後輩が増えている、という描写あたりですね。そういえば作者は藤原定家。未来人が藤原と名乗ったのは偶然かそれとも…といったところです。
- 「キョンは変な女が好みだからね」
がとうとう回収された事に軽く興奮。かなり初期の国木田発言ですが、妙に引っ掛かってはいました。前巻におけるミヨキチの登場、今回も早々とその単語を引っ張り出してきている所からてっきり「変な女=ミヨキチ」と思わせておいての二重ミスリーディングでした<佐々木。しかし、そろそろキョンに殺意が芽生えてきそうな勢いなのですが。
- 長門―周防ライン
長門、周防ともに現在の山口県にあった国名。源平合戦の最終地・壇ノ浦や幕末における長州藩など、今回のハルヒの動きと直接関係はなくとも勘ぐりたくなるものです。
- 後輩と同窓会と岡本さんと12人いる!な新入部員候補
岡本さんの名前はまんま阪急岡本駅を連想するなぁ。かつては西北の次に特急止まる駅でした。今では夙川挟むけど。で、序盤の同窓会話で出てきた岡本さんと後半出てくる増えた後輩ちゃんの描写が何故か似ている点。同一人物と仮定すると、かなりややこしい事態になるかも。分岐していないであろうと思われた序盤の方にも何か仕込んである可能性ありです。
- 佐々木に示唆を与えたのは誰?
恋は精神病の一種とは、ハルヒの考えに限りなく似ているように思えますが、さて。
- αルート、βルート
第一印象として不穏なのはβの方。佐々木冠のSOS団との会合、喜緑さんの介入、長門が熱でダウンなどきな臭い展開。αは分岐前の「キョンの勉強の面倒」をハルヒが実行しているから何となく正規のルートにも思えますが。そうなってくると、後輩の電話と正体が今のところ謎。キョンの「文字通りに半分当たりで、半分は外れ」な説明と、下手人はハルヒという言葉を額面通りに受け取るならシンプルに読んでおけばよいという結論なんですけど、色々と深読みしたくなる構成なのでした。
- 西北まわりの塾事情
昔から塾は多かったですが、今の西北は戦国時代かというくらいに乱立してます、塾。キョンと佐々木の通っていた塾は浜学園と予想。何故なら見に覚えのあるカリキュラムだから。火・木・土もしくは月・水・金の夕方でした。まあどこも似たような感じだとは思いますが。高校に入って佐々木が西北以外の塾に通っているのなら大手の何処かでしょうか。学校よりは近いという地理的条件は意外と難しいなぁ…本筋には関係無いです。
- つまるところ
未知の後輩ちゃんか裏ハルヒ候補の佐々木さんか、という視点で色々と妄想してみるか、物語そのものの構造を読み解いてみるか…二者択一での楽しみ方ではあるなーと感じました。シャミセンの描写が多いのはちょい引っ掛かりますが。続きはとにかく楽しみ楽しみ。