金と黒の少女、白と黒のライフル

バニラ A sweet partner (スーパーダッシュ文庫)

バニラ A sweet partner (スーパーダッシュ文庫)

傑作!という訳でもなく、超新鮮!という程の目新しさも無かったのですが、心の熱をそっと冷ましてくれるような読後感がありました。ジャケットから漂う、美しくも儚い終わり方を連想させる序盤の展開を良い意味で裏切ってくれる部分もGOOD。そういえばシトロネットのジャケット作品初買いだった。
となると、好みの別れどころは主人公の百合と殺しの気軽な部分でしょうか。個人的にはどちらも問題なかったです。特に、ケイとナオがそれぞれの「殺人」という行為に至る一連の流れ・・・割と現実的な判断だなと思ったのは気のせい?何のために銃を向けるのか?彼女達に贖罪を求めるのか?割とあっさりとした内容なのは、読む側にどちらともとって欲しいという意図の現われかも知れません。
その辺り、社会的な判断としての警察の動きが面白い。許されるものではないという理屈と、何とかしたいという感情が中島という謎のポジションと元川・中谷のコンビの差異となって表現されてます。こちら側の描写が無ければ、ひどく独りよがりな物語になっていたんだろうなーとも思う訳で。
ちなみにファンタジー的な要素で捉えがちな百合ん百合んな描写ですが、大人しそうな方が押し倒す展開って妙に興奮するよな!と興奮。結局そこかよ。キスオンリーでじっくりと、二度も邪魔が入って尚続行という粘り強さにうっとり。何も考えずにさくさく読むのが、むしろ吉でしょうこの作品。銃器に関しての専門的部分も楽しいし。オススメです。