作家買いとライトノベルの関連性

「この作者にこのイラストレーターなら買い」が基本的な選び方。両方見知らぬ場合は直感で。中身をチラっと読んで良さそうなら…という手法はあまり採用しません。出だしの文章は、作品のファンタジー/非現実性がモロに出る事が多くて文章だけでは我慢できない時も。疲れてると特に敏感ですし。
作家買いをするにしても、「好みのイラスト描きに恵まれた人」基準な人が多くなります。個人的な代表格は扇智史。作風とも合った組み合わせが好印象。後はシリ−ズ化してくれれば…涙。
春は出会いの季節です アルテミス・スコードロン (ファミ通文庫)永遠のフローズンチョコレート (ファミ通文庫)塔の町、あたしたちの街 (ファミ通文庫 お 4-4-1)
まあ長期/人気シリーズとなると逆にイメージが固定し過ぎて、別の絵描きさんとのタッグに手を出しにくい事もしばしば、ジャケ買いも良し悪しです。谷川流の『絶望系』は、どうしてもシスプリが頭に浮かんで購入に踏み切れず。あの表紙を見ると「兄くん…」と囁かれているような気がしてならんのですよ。桜庭一樹の『砂糖菓子』も表紙でスルー。高野音彦相田裕の系譜は好きな絵師さん多いのですが、何故かピンとこなかったので。単行本化したので近々手を出すとは思います、砂糖菓子。
逆に単行本は微妙で、文庫になって手を出すパターン。
インストール [ 綿矢りさ ]インストール (河出文庫) [ 綿矢りさ ]
思いっきり一般文芸、しかもタン付けな呼称が多い気がする綿谷りさの『インストール』。単行本見た瞬間に、残念ながらスルーでしたエエ。ラノベ者には辛い絵図じゃよ、椎名まこととか銀色夏生ならどうって事ないのになぁ…逆差別でいかんとは思いながらも、文庫版の表紙にホッと一安心→即買い。ジャケ買いとは罪深いものでもあるのです。もっと罪深いのは作家の顔買いだと思うのですがどうでしょう。あ、でも『ダ・ヴィンチ』のランキングは逆に面白いかも。サイン会などで交流してしまうと贔屓もしたくなる、それが人情って奴さ買いもありますが、こちらはそもそも人気作家だからこそのサイン会であるからして大した問題でもない…と思いたい。

吉田修一なら長崎と東京、伊坂幸太郎なら東北(仙台多し)、谷川流なら西宮市という作者のバックボーンはもとより、違うタイトルのあの人物がいるかも知れないという設定の共有を夢想する事は、イラストに関係してこない楽しさの一つと言えるでしょう。
そして作品群に共通する作風の発見と、新たな面白さの開拓が作家買いを長く続けるための秘訣なのは言うまでもないのですが、するとライトノベルの場合、長期シリーズ化がその条件に当てはまるなぁ、と。仮に、別シリーズの良さを長期化した人気シリーズに取り入れた場合、別シリーズの存在が余計希薄にはならないでしょうか?世界観を共有する作品群に付きまとう影のような命題だとは思います。

つまり、ジャケット(絵師)との相性と長期シリーズ化によるデメリット…ですね。少なくとも自分の中では。それでいて自覚的なのは「手を出して損は無い」という事実。しかし若いうちは金銭的理由が、年を経てからは時間の都合で諦めることもあります。要するに面倒臭さからくる食わず嫌いだけなのかも知れません。そんな食わず嫌い(=別シリーズ)を乗り越えてこそ、酸いも甘いも噛分けたチョイと大人な楽しみ方ができる…と捉えてライトノベル作家買いをしてみるのも良いかもね、と思いつつ。