赤い靴のカルテット

待ってましたのリリカル・ミステリー最新刊。単品で読んでも問題はないけど、見逃せない名前がチラホラ出てきたりしているので『白い花の舞い散る時間』と『盤上の四重奏』は読んでいた方がより楽しめます。
このシリーズは何といっても、物語の全体構造やキャラクターの言動がオトコゴコロをくすぐって仕方ない所が魅力なのです。乙女心ではなく漢心。どの作品に似ているの?と聞かれたら、「北斗の拳」と答えるかも知れません。半分本気で。
お話そのものは、豪華な塾の小さな謎を巡る日常系ミステリとして良く出来てます。合宿恒例、運命の赤い花火に関するエピソードも予想できたとは言えニヤニヤがとまらない展開。人間関係の意外な推移がシリーズの大きな特徴だし、その点では期待を裏切らない面白さがありました。そして早くも続きが気になる引きだなぁと。楽しみ楽しみ。以下、妄想&人物像雑感。
今回の主人公・盟の能力「絶対多数派主義」は、「破滅のカガミ」である瑞姫と組めば空恐ろしい威力がありそう。そうなると敵対勢力の「御神童」宵子に仕える巴が盟の運命の相手というのは何とも切ない…しかしドキドキ&ワクワクが止まらないのは、ラストで再会を果たすであろうフラグめいた盟の心情の故か。
もう一人の重要人物であろう綾芽がまた、良いキャラしてます。殲滅宣言にゾクゾクきました。瑞姫がもの凄い覚醒を果たしているだけに、どういうやり取りが待っているのか、敵になるのか味方になるのか、非常に気になるポイント。綾芽の歪んでもなお甘美な独占欲は個人的に大ヒット。それにしても盟は大変なポジションですね。最終的に誰の傍に彼女はいるのか?要チェック。
沙耶に関しては、何となく想像はついてたのですが、しかしリリカル・ミステリーの脇役って皆美味しいキャラなんですよね、何気に。盟の運命の相手では無かったとしても、それまでの2人のやり取りは実に素晴らしいですし。そこをサラっとひっくり返してくるのが凄いんだよなーとつくづく再確認。カルテットを通しての淡い青春模様だけはそっと胸に留めつつ、次巻以降の暗黒模様を期待しておこうかと。