ウン、ただの恋物語。

イニシエーション・ラブ (文春文庫)

２００４年度最大の問題作、文庫版出てました。読み終わった時に覚える未知の快感、二回目に読む時の止まらないニヤケっぷり、できるだけ事前情報を踏まえずに読む方がより楽しめるのは確かですが、帯の煽りも激しいので諦めて手にとって下さい…としか言いようがない。乾くるみらしい、淡々とした人間模様に隠された清清しいまでの「ミステリ要素」が、必ずや二周目を読まざるを得ないのには、ただただ脱帽です。
「この手の」作品で言うと、米澤穂信の『ボトルネック』や友桐夏の『白い花の舞い散る時間』などクセのある急転直下系よりは平坦で読みやすい全体の流れ、それでいて結末そのものは同等以上の驚きが待っているのが特徴。上記に挙げた作者好きなら、迷わず手に取って損はない作品って事で一つ。