鬼と散りて花嫁を抱く

華鬼 (レガロシリーズ)

華鬼 (レガロシリーズ)

平凡な少女と、美しくも冷酷な鬼とが織り成す学園伝奇

鬼の花嫁と生まれ落ちた少女の数奇な運命を描いた学園ファンタジー…とは妙に懐かしくすら思える設定でしたが、逆に新鮮に読めました。小説サイトで展開していた物語を書籍化した…というと、らっきょが思い浮かぶくらいなので、かなり珍しいような気もします。昔は結構オリジナル小説とかネットで探していたものですが、最近はサッパリなのでこんな形で出てくるとオオッと驚かされたり。
当然、本になるように細かく変えているんだろうなと想像しつつ、更新を重ねてきた小説の「流れ」がどことなく残っているような気がするのも意外と新鮮に思えた理由の一つかも知れません。設定の語りなど、特に固めてきた部分が書籍ありきの学園ファンタジーとはどことなく違う匂いを醸し出していて。方向性でいえば、学園伝奇もののゲームをノベライズした作品などに似ているかと思われます。
加えて、乙女ゲー的なノリが…と言うよりもむしろ、乙女ゲーに割とありそうな要素としての学園伝奇、と表現した方が合っているのかな?チトややこしいか。つまりは、美男美女揃いの鬼/鬼の花嫁にあって、それほどまでには美しくもない少女が何しかモテちゃってさぁ大変というノリなのでありました。そして、こういうベタな設定が割と好き!なので良し!と思える自分であったり。ていうか、大変に秀麗なイラストの数々を見直してみると素敵野郎キャラの競演でした。納得。
続きを前提とした引きとなっていたので、1冊としての完成度を求めるならチト苦しいのですが、密度の多い登場人物と舞台設定が好きな人には堪らないんじゃないかなーと思う次第です。そして、朝倉さんスキーなどにもオススメしたい!とお薦めしつつ。