わたしはわたしが大好き
- 作者: 森博嗣
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/09/07
- メディア: 新書
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三十代の女性に共通するもう一つの要素は、ありそうで案外たどり着けないシロモノなのかも、と妙に納得できちゃいます。いわゆる倫理上の…って奴です。そこから展開していく事件の流れと解決に至っては、ややこしい事もなくシンプル。物足りないという以前に、近年はずっとこんな感じで拘らないつくりですよね。その分、キャラクターの掛け合いと独特の詩的表現で魅せてくれる、と。あーでも、例えば今回なら「香り」についての顛末などは、凄く「らしい」描写だなーと思わずニヤリとさせられました。
しかし、終盤の疾走感はちょいとドキドキするものが。前回といい今回といい、探検めいた要素がシリーズのポイントになったりするんでしょうか?それから小川さんの揺れ動く女心ね。男性のちょっとしたところに目がいく「視点」がシリーズ的には新鮮と言えます。浮世めいた部分での繋がりがこれまでは多かったからなぁ。
シリーズの結末だけは、今までのシリーズを読んでいると何となく想像できる…というか萌絵とか保呂草あたりの動き次第なのですが、そういう意味で繋がりを感じると言えば感じるよなーと何となく思えた1冊でした。何のかんの言って、今後も追いかけていくのは間違いない。もちろん小川さんの、例えば恋だったり仕事だったり、微妙に揺れ動く姿などもほんのり期待しつつ。