2007年下半期ライトノベルサイト杯
またまたまたまた、で今回も参加です。下半期は新作発掘に殆ど手が回らなかったので、今からラノサイ杯の結果を楽しみに待っている状態…というのが情けなくも新鮮な感覚ですが。あとは当初、『Fate/Zero』参入によって、「すわ『ラノサイ杯戦争』勃発か?」などと妄想してました。実際のところ、各ラノベの登場人物を7つのクラスで召喚させると面白そう…か?
- 新規作品部門
- 作者: 杉井光,植田亮
- 出版社/メーカー: メディアワークス
- 発売日: 2007/11
- メディア: 文庫
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例えば、何気ないクラスメイト男子の会話や主人公のちょっとした機微が、抜群に上手くて「馴染む」文章で。青春ストーリーの痛さも甘さも、両方良い具合で読める、というのは中々難しいものです。それに加えて、冒頭の超常現象を匂わせるかのような奇跡の伴奏と、学校生活に君臨する革命家というファンタジーな要素までもが綺麗に繋がるとあっては、これ即ち「傑作」と呼べる作品にふさわしいでしょう。あと、エビチリって美味しそうな響きだよね…って再認識した小説でもあったりなかったり。
- 作者: 中村九郎
- 出版社/メーカー: 富士見書房
- 発売日: 2007/09
- メディア: 単行本
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当時の感想はこんな感じ。
「摂政しようよ」ともちかけてくる女の子と地方自治の闇とが、夢物語のように実現していく奇妙な展開と、恋の野郎めと毒づきながらも翻弄される少年衆のバックボーンが、本当に変。神様も悪魔もいないのに変なお話をつくる、という作者の覚悟は見事に成功しています。おかげで、泣けるくらいの恋物語と眩暈を起こしそうなバットボーイズの活躍とが、同時に堪能できます。見事哉、青春ノワール。
- 作者: 内山靖二郎,朝未
- 出版社/メーカー: メディアファクトリー
- 発売日: 2007/10
- メディア: 文庫
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鵺を探す少女・件の物語。街先や学校での小さな出会いと別れは、ほんのり大人しめのストーリー基調ですが、クダンの「願い」を考えると何とも良い味してるなぁと思う訳でして。何といっても幕間のケーキ屋でのやり取りが微笑ましくて切ない…赤貧少女のデイリーライフ、という二重の意味でも。とにかく一度読んで、もう一度色々な部分を読み直すと面白い小説、ではないでしょうか。
- 作者: 壁井ユカコ
- 出版社/メーカー: メディアワークス
- 発売日: 2007/09
- メディア: 単行本
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当時の感想はこんな感じ。
要望に沿って印象を語るとすれば、グダグダ仲間と朝まで飲んでるコースで「ラストオーダーですけど」と言われて頼むデザートの冷たい甘さ…かな?付け加えるなら、店を出た時、始発前の澄んだような饐えたような空気も。元カレと親友という、空白の時を置いてやってきた要素=「17歳のわたし」を時には持て余し時には愛しみつつ生きていく…なんていうのは、少ししんどうそうで少し眩しいな、と思うのでした。
- 作者: 渡瀬草一郎,碧風羽
- 出版社/メーカー: アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2007/11/01
- メディア: 文庫
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ヒロインが、エロい。以上。―と締めておきたかったのですが、仮にも前シリーズ『空鐘』の大ファンである身でそれはちょっと…と思い直しつつ上半期の投票では母萌えの一言で『陰陽の京』済ましちゃってるや、テヘリ…と反省しておこう、深く。
それにしてもフィノというキャラクターは、扉絵の健康的な姿といい多方向の姉属性持ち性格といい、けしからん実にけしからんですな。あと、猫様語りに爆笑。肝心の物語については、次巻以降に期待大。世界観の構築はさすがに丁寧だし、その分はじめの一歩が様子見になるのは『空鐘』同様、といった所でしょうし。とりあえず「変な女」希望です。
- 既存作品部門
Fate/Zero Vol.4 -煉獄の炎-
【07下期ラノベ投票/既存/TYPEMOON:UA04】
『Fate/stay night』へと続く道が、とうとう開かれた。つまりフェイト/ゼロ、堂々の完結であります。『Fate』をリアルタイムで追いかけてきた人、ほぼ全てに納得の行くクオリティで提供されるノベライズ作品というのは、凄まじいの一言に尽きるでしょう。奈須きのこテキストに挑む、まさに戦いでもある中で、「第5次聖杯戦争よりも凄い」と思わせるのですから。まるでスター・ウォーズの映画ばりの逆行っぷりに2007年は酔いしれました。
ところでこの『Fate/Zero』、ゲームやってない人にオススメできますか?という問題に対しては明確に「オススメできない」と言っておきます。しかし「手に入れるなら今のうち」なのは確かです、在庫的な意味で。そのうちうっかり読み始めてしまったりする事もあるでしょう、その時は仕方ないですが非常に面白いので、諦めて全部読んで下さい。
とにかくやり終えるのに数十時間かかるかも知れない、という脅し文句としか言いようのない賛辞を浴びる原作をやるにしても、まずは体験版をダウンロードしてみる、から始めるのが得策、といったところでしょうか。
- 作者: 竹宮ゆゆこ,ヤス
- 出版社/メーカー: メディアワークス
- 発売日: 2007/12/10
- メディア: 文庫
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5巻の盛り上がりからこっち、6巻の熱さまで到達する事があろうとは、予想外でした。安定して面白いどころか、巻を重ねてますます面白くなる『とらドラ!』に、是非もなく一票。同時に、何気に深く、静かに進行する竜児まわりの恋愛模様に目が離せなくて!目下の恋愛対象であるみのりんの変化は元より、亜美の言動も非常に興味深いですし。何処まで行くのかこのシリーズ、タイガー&ドラゴンは一体どう落ち着くのか、今後も見物です。
- 作者: 佐藤ケイ,かみやまねき
- 出版社/メーカー: メディアワークス
- 発売日: 2007/07/01
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熱い。前巻はちと肌に合いませんでしたが、今回は非常に良かったです。夏の遠泳大会というテーマでよくもまあ熱いバトルものが作れたもんだと半ば感心しちゃうのですが。各校舎ごとに分かれたキャラごとの戦略面の描写や恋の駆け引き要素の充実も、やはり我らがマナマナ、「闇参謀」芦原真奈がいてこそ。しかし、参謀は良いとして闇て。さすがです。オチはいつもの花音でしたが、妙にエロい描写もあったし、全体的になかなかの活躍っぷり。新旧キャラ入り乱れての面白さと、出版時期が見事にかみ合った「良さ」も含めて満足度の高い1冊でした。
- 作者: 榊涼介,きむらじゅんこ
- 出版社/メーカー: メディアワークス
- 発売日: 2007/10/01
- メディア: 文庫
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やはり外せない!榊ガンパレ・山口防衛線シリーズ。岩国最終防衛ラインに終結した面々、5121小隊と連携する矢吹−植村ラインの戦闘団といったオリジナルキャラ達の生き様。幻獣共生派の予断を許さぬ動き。ガンパレを半分飛び越えた「戦記」としての面白さが際立っています。もちろん5121小隊も一人一人が成長している訳で、「事務官の中の事務官」とか「整備の神様」とか、そういった対外評価の高さにいちいちニンマリとなったり。そして何より、榊ガンパレはまだまだ続く気配があるのが嬉しいところです。とりあえずは名ショート・橘翔子を激しく希望しておきたい!
オイレンシュピーゲル 参 Blue Murder (3) (角川スニーカー文庫 200-3)
- 作者: 冲方丁,白亜右月
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2007/11/01
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特甲レベル3入ります、プロージット!遊撃小隊・ケルベロスの3人ほど、キュートで苛烈な組み合わせはない―と思えるのは、もう一方のシュピーゲルを読んでいないせいでしょうか。それにつけても、クライマックスでの「告白」には大いにゾッとしましたエエ。夕霧のお話はいつだって読むのが怖いのですが、今回も来てたなーと。涼月の乙女っぷり、そう乙女な部分もなかなかの展開だったし、陽炎の恋心は色々な意味で可愛すぎるし、やっぱり最高に好きだ、『オイレン』。