きっとどこかで会っている。

横道世之介

横道世之介

吉田修一が読みたいなーと思っていたら良いタイミングで新刊出てた!しかも青春モノ!という訳でいそいそ買って放置してました。でも読み始めたら、あっという間。まさしく青春を噛み締めた読後感。良い物語読んだという素直な気持ちになれました。
横道世之介、という人物に出会えた愛しさに溢れた現在と昔…の交錯が何とも面白おかしく、切ないです。特に、世間知らずのお嬢様・祥子(しょうこ。さちこと呼びたくなるキャラでしたけど)との関係は上手くいきそうにない身上にハラハラ…と思いきや、とても良い!無茶苦茶だけど許せてしまう爽快感が存在してました。傍若無人に繫いできた人間関係が後になって思い返してみると、実はかけがえのない思い出なのかもしれない…でもはっきりとは記憶に残っていない。一つのニュースが街を巡る時、横道世之介にまつわる人々に去来した青春時代とは、そのような色合いでした。
もう少し年を経てからの方が面白いのかも知れないけど、ふと立ち止まって昔の思い出に触れてみるのも悪くはないかも…と読んだ後に感じる小説でした。そこでもし、横道世之介みたいな人物を思い浮かべる事ができるなら、それはとても幸せなのだろうな…と思いつつ。