私的読書履歴2009

さて、2009年の読書を振り返る訳ですが、アレです、シリーズもののラブコメラノベは一度置いてかれるとリカバリー不可ですね、もう。新刊棚の半分はそんな感じで見送っていたような覚えがあります。ですので、改めて「頑張らない」というスタンスで作家買いを中心とした定番に落ち着いていた1年でした。読む量は絞れるけど面白みにはいささか欠ける面もあったかな…という感じだったかな?

  • ブック・オブ・ジ・イヤー

横道世之介

横道世之介

2009年一番のお気に入り作品は吉田修一の『横道世之介』でした。読んだ後に何ともいえない懐かしさがこみあげてくるし、何処かとぼけた主人公と祥子の恋愛模様がとても素敵!何より、「ちょっと悲しいけど前向きになれる作風」というのが自分の好みにピッタリでした。お涙頂戴・感動のラスト!などといったあざとさよりも、「青春」という言葉がもつ様々な要素が感じられてGOOD。
Another

Another

ミステリーとホラーの美しき融合。綾辻行人が健在で、勢いのある作品を読める事の喜び。スタンダードな要素に見え隠れする「陰」…人形、嵐の夜のペンションと殺人鬼といった独特のガジェットがとてもらしくて良いです。あまりにありふれた冒頭の日常風景に感じる違和感ですら、目が離せない要素になっていて面白いし、とにかく読んで損はない傑作。終盤に残る、ちょっと不可解な謎とヒロインの存在からすると、シリーズ化を希望せずにはいられません。

  • バンドしようぜ!

背徳のパンダ

背徳のパンダ

私立!三十三間堂学院〈9〉 (電撃文庫)

私立!三十三間堂学院〈9〉 (電撃文庫)

アニメではけいおん!などが流行っていたそうですが観てませんので何とも…なのですが、偶然にも小説ではお気に入りの作家さんがバンドものの作品を書いている事が多かったです。
バンドの魅力は何といっても、永遠に揃わない最後のワンピースを求めて活動する切なさに限るのではないでしょうか。あるいは過去に一瞬の煌めきのような理想の形があって、今は叶わない、と。それでも彼や彼女達は音楽を止めない訳で、だからこその美しさがあるんでしょうね。『さよならピアノソナタ』ではいつかの未来の理想像を想像すると凄く幸せになれるし、『背徳のパンダ』では30過ぎてもビジュアル系で生きるアーティストに希望と絶望が入り混じった未来と「今」の渇望がひしと伝わってくるし、『私立! 三十三間堂学院 (9)』では珍しくもヒロインに恋愛模様がないままの音楽を通した青春という流れで興味深かったし。
バンド活動の悲喜こもごもを色々な形で読めたのは嬉しかったです。

海上のミスティア (一迅社文庫アイリス)海上のミスティア 道化師と恋に落ちた騎士 (一迅社文庫アイリス り 1-4)華鬼 (レガロシリーズ)華鬼2 (レガロシリーズ)華鬼3 (レガロシリーズ)華鬼4 (レガロシリーズ)
気が付けば一番作家買いしてたのが梨沙さんの作品。表紙イラストの美麗さに手を取ったのも事実ですが、一種のもどかしさが個人的には好みの作風でした。海上ミスティアも続くなら追っかけていこうかと思います。

  • 俺の妹は可愛くないし、友達と彼女は「エア」なんだ

俺の妹がこんなに可愛いわけがない〈3〉 (電撃文庫)俺の妹がこんなに可愛いわけがない〈4〉 (電撃文庫)僕は友達が少ない (MF文庫J)僕は友達が少ない 2 (MF文庫J)曲矢さんのエア彼氏 (ガガガ文庫)曲矢さんのエア彼氏 2 (ガガガ文庫)
電波の次はエアなのでしょうか?痛いけど可愛いから許せる、あるいは可愛いからこそ痛いので残念なのか、いずれにせよ妙な方向でハイブリッドなヒロインが今後ますます増えるのかも。そんな破天荒なヒロインを受け止める主人公という構図も多いですよね。世界の命運を握るような存在がちょいとマニアックな形になっただけと考えれば割と王道?構図はシンプルに、ヒロインは複雑怪奇に。2010年はどのようなバランスが流行るのでしょうか。

  • 読み納め

天地明察

天地明察

コミケ帰りにようやく読破。素晴らしいの一言に尽きます。何故、沖方丁はこうも心を揺さぶる物語を見させてくれるのか?本当に凄い作家だと思います。最後のライトノベルの方も是非頑張って欲しいと思いつつ。