ラノベ野郎がお薦めする竹宮恵子作品
いち竹宮恵子ファンとして、いちアニメファンとして絶賛視聴中の『地球へ…』であります。しかし超美麗クオリティな作画を前にしてすら言える、「ようやく時代が竹宮恵子に追いついた」のだと。
思えば年少時に『ロードス島戦記』と『イズァローン伝説』に出会った時から自らのファンタジー嗜好は定められたのかも知れません。あるいは『銀河英雄伝説』と『地球へ…』が先であればSF者になっていたのでしょうか?答えは恐らく、イエス。
という訳で改めて個人的にオススメの竹宮恵子作品をピックアップ。どの辺が個人的かというと、幼少のみぎりマンガを読み始めた頃のラインナップが『ベルばら』『摩利と新吾』『たたらの辻に』『日出処の天子』『百億の昼と千億の夜』などモロに24年組だよねそう言えば…と思いつつ今は電撃文庫中心に小説を読む野郎―という辺り。
- 作者: 竹宮惠子
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1997/03
- メディア: 文庫
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とにかくこの作品だけは思い入れあり過ぎて外せません。両性具有、という直接の描写ではなく半陰半陽・中性体であるティオキアの存在が幼心に衝撃を与えてくれました。どんな幼心か。もう一人の王子ルキシュの、ティオキアに女を選んで欲しいという願望に共感していたんだろうなーと思います。
魔王にして救世主であるティオキアの旅路と、ルキシュとフレイアとアスナベルに見える王と王妃と騎士道の物語、2つの軸があるのですが好きなのはルキシュとフレイアの関係。最悪にして最高の出会い、徐々に築きあげた信頼や愛情が離れる瞬間…素晴らしい!ディルムムッドの英雄譚に興味ある方は是非!といった所。田丸浩史的に言えば「ああ〜ッオレ巨大な運命のウズに巻き込まれちゃってる〜ッ!!」ってカンジでもあります。
それにしても「魔」という言葉の響きは良い。木原敏江『夢の碑』でも、さり気なく「魔さ」なんてウットリする台詞が使われてたりしますし。24年組に共通する素敵キーワードだよなぁと思うのですが、さて。ウェストサイドやコーラスライン好きには堪らない作品。ディスコ代わりの駐車場と50年代のロック、子供の頃はとてもCOOLに思えたダンシング・ストーリー。今は懐かしさと共に。
- 作者: 竹宮惠子
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2003/06/28
- メディア: コミック
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- 作者: 竹宮惠子
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1995/03
- メディア: コミック
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そしてエドナンとウォルフ、2人の天才音楽家と音楽評論家・ボブを中心に、きら星の如く短く輝いた音楽と人間模様―それが男同士であれ男女の出会いであれ―が何より素晴らしい。『椿館の三悪人』『ランボーとヴェルレーヌのように』はコミカルな展開の中に魅せる恋模様の結末が、本筋においてはウォルフの人生を鮮やかに彩った妹アネットが、生き生きと語りかけてきます。超オススメ。
私を月まで連れてって!―完全版 (3) (JETS COMICS (4243))
- 作者: 竹宮惠子
- 出版社/メーカー: 白泉社
- 発売日: 2005/09/29
- メディア: コミック
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物語ごとのヒロインにしても、未来人からかぐや姫からニナ(ESP)の兄貴の彼女やら、涼宮ハルヒも驚きの魅力的な女の子ばかりですよエエ。月までどころか、冥王星にだって連いていっちゃう何でもありなスケールは、堪能しなきゃ損損です。
竹宮恵子の作品には、例えばロリコンだとかボーイズラブだとかフタナリだとかの要素が、まるで何事でもないかのように自然に存在していて、読んでいても違和感がないのが嬉しいんだよな…と今更ながらに思います。ロリコンと表現しましたが、そこにコンプレックスは無くて、素直に年の差カップルの描写を楽しめる。男同士の逢瀬の美しさを感じられる。複雑に枝分かれしてしまったマンガの面白さの根源に触れる事ができるからこそ、何年何十年経っても変わらぬ面白さがそこにはある。ビバ、竹宮恵子。